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高齢出産後の不調は、更年期と関係があるのか心配なのです。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q.高齢出産後の不調は、更年期と関係があるのか心配なのです。

野末先生、はじめてお便りします。私は不妊治療の末、2年前に43歳で出産。育児が忙しくて、あまり自分のことにかまう時間がなかったのですが、最近、肩こりや手のこわばり、疲れなどが気になっています。考えてみれば、年齢的にも更年期の入り口。不妊治療をしていた人は更年期障害が重いとか早いとか聞いたことがあります。本当でしょうか? この不調は、やはり更年期症状なのでしょうか。(E・Aさん 45歳 会社経営)

A.不妊治療したかどうかより、 卵巣の機能の問題。悪いほうに考えないでね。

E・Aさん、はじめまして! お子さんが2歳でしたら、疲れて当然ですね。私も2人の息子が幼いころは無我夢中でした。あまり、悪いほうに考えないようにしましょう。

さて、不妊治療が更年期障害につながるかという質問ですが、そもそも不妊の原因が何かにもよります。卵巣機能に問題があった場合は関連性がゼロではありませんが、カップルの問題や原因不明のケースも少なくないのです。また、更年期の症状は個人差が大きいので、因果関係にフォーカスするのではなく、卵巣機能の状況に注目しましょう。

私が皆さんにおすすめしているのは、毎日、基礎体温計で記録をつけることです。高温期がなければ、「もう排卵していないんだな」とわかります。自動的にグラフ化するアプリを使うのもいい方法ですね。

私自身、その記録がとても役立ちました。次男が3、4歳のころ、朝になると「はい、ママの体温計!」と言って、ベッドに持ってきてくれたことを思い出します(余談ですが、87歳になった今も、その子は誕生日に花束を持ってきてくれます)。

カラダの変化を客観視できますし、習慣にすることで、カラダに自覚的になることこそ大きなメリットなのです。もちろん、心配でしたら、更年期外来など専門の婦人科で検査してもらいましょう。低用量ピル、ホルモン補充療法(HRT)、漢方など方法はたくさんあります。

下のグラフを見てください。

【年齢が上がるとともに卵胞数が減少する】

妊孕性とは、妊娠のしやすさのこと。卵胞数がゆるやかに減る中、がくんと減少するのは30代後半から。妊孕性も低くなる。

出典:日本産科婦人科学会誌52巻9号より作成

年齢によって、卵胞数がどのくらい減るのか、わかります。最も卵胞数が多いのは、母親の胎内にいるとき。おぎゃーと誕生したときから減少を始めます。ちょうど女性ホルモンであるエストロゲンが減少し始める37、38歳ころから妊孕性が低下していきます。月経不順が始まり、更年期症状が出てくる年齢と相関関係があることがおわかりでしょうか。

今、不妊治療の有無にかかわらず、高齢出産は増えています。子育てや家事だけではなく、昇進したり、親の介護が始まったり、更年期症状も出始めたり。問題が山積する年代ゆえ、カラダのケアは放置されがちなのです。とくに、不妊治療をしていて、妊娠しなかった場合は、そこで婦人科と縁が切れてしまいます。専門医に行くなど、自ら動いて更年期の不調に対処することがとても大事なのです。不妊治療をする医師から、遠からず迎える更年期の情報を手渡していこう、更年期医療の医師へと連携していこうという動きも出始めています。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

高齢出産後は、専門家に相談して更年期対策を。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1005号より

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