「薬膳」と聞くと何やら難しそう。料理は得意じゃないし、中華料理を作るなんてハードルが高い。いえいえ、そんなことはありません、と麻木さん。
「薬膳の肝は食材の選び方。余計な調理をする必要はなく、蒸すとか炒めるとかシンプルな調理を推奨しています」
食材の選び方の基本は、5色の食材を揃えること。中医学では万物を5つの要素に分け、これらを調和させることで陰陽のバランスを整える。色に関してもそれぞれ意味があり、青はイライラを鎮め、赤は血の巡りをよくし、黄は胃腸を整え、白はカラダを潤し、黒は生命力を高めると考えられている。
「入り口としては5色を取り揃えた食事を腹八分目で食べること。あとは体を温めるもの、冷やすものを体調や体質に合わせて選ぶこと。基本的に旬のものを選んでおけば、その季節に合った効果が期待できます」
難しく考えず、季節の食材を選んで彩りよく組み合わせる。たとえば、夏バテ防止薬膳がこちらの冷や汁。
「普通の冷や汁では豆腐を入れますが、今回は滋養強壮の筆頭食材の山芋を入れました。セロリやきゅうり、トマトなどの夏野菜は体を冷やしてくれます。また、みょうがや大葉など、香りのいい薬味は全身に気を巡らせてくれるので、夏バテでぐったりしているときはどんどん取り入れたい食材です」
ごはんにかけてもよし。食欲のないときはそうめんにかけてもよし。