「言語学の目的は、言葉に関係ある現象を科学的に説明することですが、自然言語処理はコンピューターを使って言語を分析する先に、何か役に立つものを作ろうという意識があります。検索エンジンや、IBMのワトソンのように質問したら答えてくれるコンピューターなど、実生活に応用されています」
さて、イタチたちは、まずロボットに自分たちが話す言葉を正しく理解させようと考えた。そのため、言葉がわかる機械を開発したというほかの動物たちの村を次々と訪れるが、モグラ村では音声認識、カメレオン村では会話、アリ村では質問に正しく答える技術の抱える、さまざまな問題に突き当たる。
たとえば、聞き取った音声を文字にしてモニターに正しく表示できる機械は、意味を把握しているわけではない。相手の話した言葉のパターンや過去の会話を手がかりにして自然な会話をする機械は、内容を理解しているわけではない。質問文を検索に利用して正しい答えを見つける機械は、文献に書かれていない常識や日常的なことを問われると答えられない。これらを言葉がわかっていると言えるのか?