15年ほど前に『開運!なんでも鑑定団』の出張鑑定で岡山を訪れた時のこと。中島誠之助さんの控え室に不思議なかたちのお茶菓子があった。
「まんじゅう、とあるけれどぺたんとしていてツヤがある。普段は番組が始まる前は食べ物に手をつけないのですが、様子が変わっているので食べてみたらこれが美味しい。たちまち4つぐらいぺろりと頂戴しちゃったんです」
中島さんおすすめの手みやげ「五大北天まんじゅう」は岡山県津山市にある『つゝや』で作られる地元の銘菓。黒糖をベースに小麦粉と、白下糖を隠し味にした生地を1週間寝かせた後に、小豆を包んでじっくりと蒸し上げる。添加物不使用で賞味期限は3日(夏場は2日)。店で扱うのは1個55円のこのまんじゅうのみで、朝作ったものが売り切れたら店じまいというこだわりぶりだ。
「飾らず、驕らず商売を続けるご主人の姿勢にも惹かれますね。もっと値段を上げてもいいと思うぐらいです(笑)」
中島さんはそれ以来、折に触れて店から取り寄せているという。
「50個入り1箱と20個入りを3箱ほど送ってもらって、届いてから訪問先を考えるんです。お墓参りに行って、寺の方々に差し上げたり、逆に取材で我が家に来た人にすすめたりします。子どもたちも大好きで、 “北天まんじゅうがあるよ” と知らせると、孫を連れて飛んできて、あっというまにいくつも平らげちゃう。50個入りでもすぐになくなっちゃいます」
手みやげは自分の気に入った味だけじゃなく、その土地ならではの風情や文化を感じるものを差し上げたいと中島さん。
「津山は昔からの城下町で、江戸の文化が今も息づいています。このまんじゅうも見た目は素朴だけれど、味は江戸前でこぎれいで粋ですね。本当に “いい仕事” をしていると思いますね」