姉と兄がいる末っ子。両親に大事にされて育ったが、中学の校則で「丸刈り」にされることに怯え、高校2年のとき、いじめられたわけではないのに、学校に行けなくなった。それはクラスが男子のみだったから。男子特有の空気の中で、男性としての自覚を求められ続ける毎日に疲れ果ててしまったのだという。
高校は中退し、独学で勉強を続けて大検を受けたあと、大学に入るために上京した。そこで思わぬことが起きる。同性の同級生に恋をしたのだ。勇気をふりしぼって打ち明けるも失恋。彼が彼女として選んだのは鈴木さんの女友だちだった……。
「男子だけの世界に拒絶反応を起こして高校から飛び出したにもかかわらず、男性を好きになってしまった。私はいったい男が嫌いなのか好きなのかわからず混乱しました。ここから自分の性別は何なのかを問い、社会と性と自分に対して真っ向勝負を挑む覚悟ができたのです」