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『絶家を思う』長宗我部 友親さん|本を読んで、会いたくなって。

今だから考える、家とは? 家系とは?

ちょうそがべ・ともちか●1942年、高知県生まれ。早稲田大学卒業。共同通信経済部長、常務監事などを経て2004年退任。先祖は秦の始皇帝まで遡ることができる長宗我部家の現当主。著書に『長宗我部』『長宗我部 復活篇』(共に文春文庫)がある。

撮影・尾嶝 太

昨年のNHK大河ドラマ『真田丸』を観た人なら、物語の終盤、大坂夏の陣に参じた髭面の武将を覚えているだろう。強面ながら、花を愛するなど独特のキャラクターで人気だった長宗我部盛親(演じたのは俳優・阿南健治さん)。だが本書の著者である長宗我部家の末裔、友親さんは不満げだ。

「私を見ていただければわかるとおり、長宗我部家は体毛が濃くないんです。あれはちょっと違うと思いますね。それに、夏の陣で盛親はなにもしていない印象ですが、実際はもっと活躍しているんです」

盛親の父、元親の末弟である親房から数えて17代目に当たるのが長宗我部家現当主の友親さん。

「徳川家に刃向かった長宗我部家は改易となり、江戸時代はずっと別の姓を名乗っていました。それが大政奉還になり、12代の與助重親の代になってやっと長宗我部を名乗れるようになったのです」

歴史のある家の当主として、各地に散らばった墓所に参り、ゆかりの地を訪ね、縁ある人に会う旅を続ける。その模様をエッセイ風に綴ったのが本書だ。なにしろ特徴のある苗字であるだけに、若い頃から苦労も多かったようだ。

「小さい頃はあまり意識しなかったんですけど、平仮名にすると10文字もありますから、名前を書く欄からはみ出しちゃうんです。なにより目立つし、悪いことはできないといつも思っていました」

大学にたまたま家系図を持っていった時、そんな古いものに縛られているのかと吊るし上げにあったこともある。一方で、つねに先祖の功績がつきまとうのも悩み。

「たとえば徳川家康、石田三成の子孫の方と座談会をしたのですが、どうしても先祖が成したことによって測られてしまう気がして。自分は自分、もっとフリーで見てほしいという抵抗感はありましたね」

とはいえ現当主としての責任感から、四国や九州、東北など各地の墓所をまとめて供養することができないか奔走している最中だ。

「僕には子どもがいませんし、養子を入れて無理やり名前を継がせても意味がないと思う。少子化時代で死に対する考えも変わっています。ここでいったん家を整理して、後代に迷惑をかけないように整えるのもあり方だと思っています」

「絶家」(表立って家名を繋げることをやめること)、「墓じまい」の問題は、遅かれ早かれ、誰の身にも起こること。

「今は個人の時代。家を背負う時代ではありません。逆にこれからの世代が、自分の思いで新しい歴史を作っていくのも立派なことじゃないかと思いますね」

新講社 1,400円

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