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読む・聴く・観る・買う

『たべたあい』高山なおみさん|本を読んで、会いたくなって。

すごく夢中になって書いています。

たかやま・なおみ●1958年、静岡県生まれ。料理家、文筆家。著書に『気ぬけごはん』『ロシア日記』など多数。絵本は『どもるどだっく』、本書、3月発売の『ほんとだもん』(いずれも絵・中野真典)で自伝的絵本の3部作となる。

撮影・岩本慶三

 大きな絵本だ。エネルギーの塊だ。ページいっぱいの女の子の顔。熊と出合って熊を食べる。山もばくばく、食べたら山になってしまう。力みなぎる絵は中野真典さんが描き、原始のリズムのように響く言葉は高山なおみさんが生み出した。

「図書館の帰りにこれが落ちてて」

 取り出して見せてくれたのは子どもの頃からの憧れだった森永キャラメルの黄色い包み。

「これ見ただけで唾がわーっと湧いてきて。思わず拾って。……私は小さい頃、葉っぱでも土でもなんでも口に入れる子だったんです。そうやって世界と重なっていた。大好きな猫も景色も人も声も何でも食べてしまいたい。食べることでひとつになる、そんな女の子の話を書きたくなった」

──口の中にキャラメルの味がいっぱいに広がる女の子 キャラメルたべたあい。くま 食べてしまう。金の夕焼け たべたい。

 高山さんが見せてくれたノートには、すでに物語の言葉が並んでいた。その名も「ひらめきノート」。

「絵本のシーンや言葉が夢に出てくることがあるんです。だから字が重なったりして。枕元に、えんぴつはさんで置いて寝てる(笑)」

 すでに1冊目の絵本をともに手がけていた画家の中野さんに、この書き付けを写真に撮ってメールで送ったら「とんでもなくやりたいです」という返事が。

「その後すぐに、主人公の女の子の絵が送られてきたんです。その1枚の絵を見たら、わーっとひと息にお話の筋ができてしまった」

 言葉をメールで送ると絵が届く。それを見てイメージがさらに膨らんで言葉が生まれる。その繰り返しで物語が育まれていく。

「中野さんの絵を、読心術みたいに読み取ってるんだと思う。あ、ここ、泣いてたんだとか。最初に思わなかったことが出てくるから」

 昨年、高山さんは住まいを東京から神戸へと移した。

「ちっちゃな頃から持ってて、酔っぱらったらふいに出てくる才っていうのかな。道に落ちていた木の皮が動物に見えたり、声が聴こえたり。大好きな木の下でねっころがったり。そういうことが今、神戸では自然と素面でできてる。裏が山で、目の前が海で。森羅万象が近いんです」

 料理家としても、素材がなりたいような料理を心がけてきた。

「野性的ですもんね(笑)。料理も絵本も一緒です。なりたいようにさせてあげたいし、なりたいようになってるのを見るのが好き。そこに私も重なりたい」

 自然に近い暮らしで、エネルギーはますます増幅されそうだ。

リトルモア 1,800円
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