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『世界を旅するネコ クロネコノロの飛行機便、37ヵ国へ』平松謙三さん|本を読んで、会いたくなって。

ノロと一緒だから「のんびり旅」なんです。

ひらまつ・けんぞう●1969年、岡山県生まれ。デザイナー。山梨県在住。著書に『ヨーロッパを旅してしまった猫のはなし』(スペース シャワーブックス)シリーズなど。ノロ公式ショップnoroshop.stores.jp

撮影・千田彩子

 たいがいの猫は、キャリーバッグに押し込められたり、車に乗せられたりするのは苦手で、それゆえに獣医に連れていくのもひと苦労、のはずなのだが、平松謙三さんは愛猫ノロと一緒に飛行機に乗って、なんと37カ国も旅をした。

 本著は、15年におよぶ驚きの「猫連れ海外旅行」をユーモアたっぷりの写真とエッセイで綴る。

「それまで猫を飼ったことはなかったのですが、近所の方から真っ黒な子猫のノロをもらって、その可愛さにやられましたね」

 ノロが来た次の日、もともと予定していたドライブに連れていったところ、車に乗せてもパニックにならないし、車内に置いたトイレ代わりのバケツで用を足すこともできた。そのうちもしかして海外も大丈夫なのでは? と思うようになった平松さん。

「猫を飛行機に乗せて旅行ができるなんて知らなかったのですが、調べてみたら、ヨーロッパやアラブ系の航空会社は、料金さえ払えば、手荷物として自分の座席の足元にペットを置けるんですよ」

 機内でノロはバッグの中でおとなしく寝ている。食事やトイレの催促は小さく鳴いて知らせてくれる。なんてお利口! こんな猫は滅多にいないに違いない。

「たしかにいままで猫を連れて旅をしている人にはリトアニアで一度会っただけです。ホントに旅行なんか連れていけるの?と心配されることもありますが、ノロは家族がそばにいれば、どこでも自分にとっての家になるようで、旅先ではますます元気で食欲も旺盛になるくらいです」

 ホテルに着いたら、まず猫にとって危険な箇所がないかを平松さんがチェックして、そのあとは自由に部屋を歩かせる。ノロは居心地の良さそうな場所を見つけるのが得意だ。

「街に連れていけば猫好きな人からよく声をかけられます。とくにアラブ人は猫が大好き。そしてなぜかしつこくノロにちょっかいを出すのはおじさんが多い。これは世界共通ですね(笑)」

 各国の猫好きな老若男女が、ノロを相手に見せる表情がなんともいえずに微笑ましい。そして興味津々で街角を歩いたり、名跡に佇んでポーズを決めたりするノロの姿に目が釘付けになる。

「3年くらい前に、そろそろ一緒の旅は終わりかなと思いつつも、ノロが元気なので、さらに3回ヨーロッパに行きました。よく僕のわがままや気まぐれに付き合ってくれているとノロに感謝しています」

宝島社 1,300円
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