そうだったのか! ウルトラマンシリーズ放送開始50年の今年、小林泰三さんが上梓した『ウルトラマンF』は、最終回の続きが楽しめる小説だ。早田隊員は科特隊のジェット機でパトロール中、何かに衝突してからの記憶がない。宇宙怪獣ベムラーを追って地球にきたウルトラマンと衝突して命を落とし、ウルトラマンと命を共有して多くの敵を倒してきたのだが。
「ウルトラマンさえ敵わなかった強敵ゼットンを、科特隊が新兵器でやっつけたんですね。これで大丈夫とウルトラマンも思ったことでしょう。しかし怪獣のゲノムを解析したり、宇宙人との接触で得た知識を応用することで、地球人の技術が急激に進歩した。小説では怪獣を呼び寄せたり、自分たちで怪獣を作ったりしだして、以前より危機的な状況になってしまいます」
テレビでメフィラス星人に巨大化させられたことがある科特隊の富士明子隊員は、宇宙人の技術を使って怪獣と戦う最中、光に包まれてウルトラマンFになる。見せ場であると同時に、不安定な技術に頼る危うさも感じさせる。