ここに落とし穴があると池上正樹さんは言う。家族以外と接触しない、友人がいない、相談相手がいない。何かをする気力がなく、社会に出ていくこともできない。
「この20年、ひきこもっている人やその方の家族などを取材してきましたが、やはりこの社会は男性のために作られたものなのだと実感しました。女性に対する配慮のなさや、傷つけられたことによってひきこまざるをえなくなってしまう。パワハラ、セクハラ、性犯罪、虐待、DV。原因はさまざまですが、まさに今の社会の縮図を浮き彫りにしているのがひきこもる女性たちだと思います」
池上さんが取材してきた女性たちは、時間をかけて少しずつ聞き出していくと、カンが良く、社会の嘘を見抜く人が多いという。それゆえ、一度、社会との接点が切れてしまうと、なかなかつながることができない。
「なんとかしたい、この状況を打開したい、という思いは彼女たちにもあります。まだ少ないですが、当事者が立ち上がって、声を上げる場を作ろうとしています」