記念すべき1000号の特集を作るにあたり、まず行ったのは、クロワッサンでこれまでお世話になった方々への一大アンケート。自身で購入し、本当によかったもの、役立つもの、素敵なものを、信頼できる目利きたち87人に答えていただき、さらにそこから厳選したものが詰まった一冊です。
そんななか、ご自宅に伺って取材させていただいたのが、お米農家やまざきの山﨑瑞弥さん。以前もクロワッサン誌面で、器をメインにお宅を取材させていただいたことがありますが、実際に伺うと、本当にたくさんの器、キッチンツール、愛らしいものたちに溢れ、拝見するだけで心が躍ります。
そしてひとつひとつのモノに関して尋ねると、「あ、それは○年ぐらい前に〇〇で」とか「〇〇さんのものが好きで通って」など、それぞれどこで購入し、どうしてそれを手に入れたかが明確に返ってくる。記事にもなっていますが、瑞弥さんは、ひとつのものを買うまでにとことん追求し、納得するものが手に入るまで試してみるとか。自分が「どうしたい」「何が好き」がクリアでないと、良い買い物もできないのだ、と再認識。デザインも機能も兼ね備えたものを見分ける審美眼はそうやって培われるのかもしれません。
誌面では可能な限り、そんな瑞弥セレクトを紹介しましたが、それでも限られたページ数ゆえ、紹介できなかったのが、写真の鍋つかみたち。一番左は、広島・HALムスイの無水鍋の“おまけ”ですが、瑞弥さんは、「この鍋つかみが欲しくて鍋を買った(笑)」そう。薄くて使いやすく、7〜8年前から愛用中。その隣の茶色は、福島・omotoの柿渋染め。洋服の端切れで作られていて、使うほどに味も出てくるので、ほつれもそのままで使っている。紺&ブルーのパッチワークがかわいい鍋つかみは、東京・神宮前ZAKKAの、移転前の場所で購入。ルームシューズ作家・藤原千鶴さんの作品で、東京らしいというか、表参道界隈らしい感じがしませんか。
右端の円錐形2つは、CHICU+CHICU5/31(ちくちくさんじゅういちぶんのご)の布作家・山中とみ子さんの手によるもの。東京・銀座の森岡書店で開かれた、古布を使った山中さんの服の展示会時に買い求めたそうです。シンプルでちょっとおしゃれな大人の日常着を生み出す山中さんですが、鍋つかみもさもあらん。かわいらしい形と素材感に惹かれます。