手を使って触ったり、めくったり。本の重さ、そのにおい。本は自分の身体を使って感じられる。やっぱりいいなあって」
写真は光と影の芸術。本書を手にするとその思いはいっそう強くなる。暗闇が焼きつけられ、光が紙を裂く。これまでフィルムを使うことが多かったが、今作は全編デジタル機材を採用し、その表現世界を深化させた。
「デジタルでしか撮れないものがあるから。とくに今回は夜の撮影が多かったので必然性がありました。イギリスで夜の空を飛ぶ鳥の群れを撮影しましたが、速い動きも、その一瞬をデジタルだと捉えることができる。鳥の撮影は全然飽きなかったですね。英語で撮影をシューティングと言いますが、まさに狩りのようでした」