『吉田璋也のデザイン─新作民藝運動がめざした未来』パナソニック汐留美術館──鳥取で「新作民藝」を生み出した“民藝のプロデューサー”
青野尚子のアート散歩。今回は、鳥取で耳鼻咽喉科の医師として働きながら民藝の企画、デザイン、生産、販売まで一貫した体制を整えた、プロデューサー的な役割を果たした人物・吉田璋也の東京では初めての個展。陶芸家の河井寛次郎が「民藝の母」と呼んだ吉田の新作民藝運動に迫る。
文・青野尚子
鳥取には本格的な民藝館があり、民藝のショップや民藝のインテリアで食事がいただける割烹料理店がある。その立役者が吉田璋也(しょうや)だ。民藝の理念を提唱した柳宗悦は「民藝の父」と呼ばれるが、陶芸家の河井寛次郎は吉田を「民藝の母」と呼んだ。その吉田の、東京では初めての個展が開かれる。
吉田は鳥取で耳鼻咽喉科の医師として働きながら民藝の企画、デザイン、生産、販売まで一貫した体制を整えた、プロデューサー的な役割を果たした人物だ。彼は鳥取の牛ノ戸焼の再興をはじめ、陶磁器や木工、染織などの職人とコラボレーション、「新作民藝」の制作と普及に努めた。いまでは鳥取民藝を代表する作品となった2色、3色に染め分けた牛ノ戸焼の皿は吉田のデザインだ。そのほかにスツールや電気スタンド、竹のバッグなどのデザインを手がけている。また古今諸国の民藝を蒐集、そのコレクションを展示する〈鳥取民藝美術館〉を創設。
吉田が鳥取の工人と生み出した新しい民藝は〈鳥取たくみ工芸店〉で販売されている。吉田は「生活的美術館」として〈たくみ割烹店〉の空間デザインも行った。
建築に多大な興味を抱いていた吉田は自ら空間や家具をデザイン、“民藝建築”の実現を目指した。会場では〈鳥取民藝美術館〉の全面的な協力のもと、吉田の活動を紹介する資料とともに、吉田の医院や自邸の一部を原寸で再現する展示も行う。吉田が民藝の広がりにどのように貢献したのかを見ることができる。
『吉田璋也のデザイン─新作民藝運動がめざした未来』
10月15日(木)~12月20日(日) パナソニック汐留美術館
「民藝の心で医者の生活をしている」と語った吉田は雑誌を発行したり、鳥取砂丘の景観保護を訴えたりと民藝に限らず多彩な活動を繰り広げた。
パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1) TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 10時~18時(11月6日、12月4日、18日、19日は~20時) 水曜休(12月16日は開館) 入館料一般1,200円ほか
『クロワッサン』1175号より
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