『教養としてのカレー』清水侑季 著──カレー観を変える エンタメ的教養本。
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
これは面白かった! タイトル通りカレーに関する知識が身に着くが、エンタメ本として楽しめる。
そもそも「カレー」は、そういう名称の料理が存在していたわけではないという。語源には諸説あり、大航海時代にポルトガル人が現地の香辛料を使用した料理をヨーロッパに紹介し、それが英語の「カレー」となったという。
ではカレーとは何か。植物の根茎や種子などの香辛料を油で熱して香りを引き出して作る炒め物や煮込みだとする説明で、〈カレーとは、「植物と油のカクテル」です〉という一文に噴いた。これを読んだその日から、カレー的な食べ物に遭遇するとこの一文を思い出す。それであるなら麻婆豆腐やガンボ等、世界各地にカレー的な食べ物があるというのも「確かに!」と、気づかされた。
大航海時代から植民地期のこと、イギリスから入ってきた日本のカレーの変遷(東西の違いをはじめて知った)、各地・各時代のカレー的な料理など、網羅的な内容で初心者(?)向き。律儀さ漂う大真面目な文章でずんずん深掘りが進むのが可笑しい。最後の第4部のタイトルは「なぜカレーは人生の問題になるのか」。最高です。私のカレー観を変えた一冊となった。
『クロワッサン』1173号より
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