『大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画』東京都美術館──イギリスで愛されてきた江戸絵画が日本へ
青野尚子のアート散歩。今回は、『東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画』。縄文土器から仏像、現代美術や写真、マンガまで質の高い作品群で日本美術史を一望できる。3カ国に分かれて収蔵されている襖絵が約150年ぶりに一堂に会するのも見逃せない。
文・青野尚子
古代エジプト・ローマの遺物で知られる大英博物館に日本美術の展示室があるのはご存知だろうか? 縄文土器から仏像、現代美術や写真、マンガまで質の高い作品群で日本美術史を一望できる。海外ではもっとも包括的なものの一つとされるそのコレクションから江戸絵画の至宝がやってくる。
このうち初の里帰りとなるのは金地も鮮やかな円山応挙《虎の子渡し図屛風》、英国王ジョージ5世が王子のころ墨で描いた点に久保田米僊が羽を描きこんで蛍とした“コラボ作品”の《蛍図》など。火災に遭う前の壁画の様子を伝えてくれる《法隆寺金堂壁画 九号壁 模本》など、近年の調査で話題になった作品にも注目だ。鮮やかな摺色が残る浮世絵のコレクションからは葛飾北斎、歌川広重ら8大浮世絵師による100件以上の浮世絵・肉筆画が並ぶ。
大英博物館・青森県の宮越家・アメリカのシアトル美術館の3カ国に分かれて収蔵されている襖絵が約150年ぶりに一堂に会するのも見逃せない。この《秋冬花鳥図襖》などの襖絵はもともと奈良の妙楽寺(現・談山神社)のために狩野派が描いたと伝えられるものだが、明治の神仏分離・廃仏毀釈のあおりで分散してしまっていた。金銀の細かな粒子がきらきらと光る襖絵が並ぶ様子は一際ゴージャスだ。
これらのコレクションは明治時代に来日した御雇外国人や愛好家たちの尽力で収集されたもの。日本美術へのイギリスの愛情も感じられる展覧会だ。
『東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画』
東京都美術館 7月25日(土)~10月18日(日)
1753年に創立した大英博物館の4万点に及ぶ日本コレクションから選りすぐった名品がやってくる。日英の文化交流についても改めて知ることができる。
東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36) TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 9時30分~17時30分(金曜は~20時) 月曜、10月13日休(8月10日、9月21日、10月12日は開室)入館料一般2,300円ほか
『クロワッサン』1170号より
広告