胃腸を守るアミラーゼで滋養強壮、やまいもの体に効かせる食べ方、選び方、調理のコツ。
野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理
【アミラーゼ】が【消化】を助け、【滋養強壮】、【腸活】にも。
【栄養豊富な旬の時期】11〜2月
保存性が高いので一年中出回るが、天然ものは晩秋から冬の時期が旬。
【体に効く選び方】切り口が新鮮なもの
長いもは真っすぐでひげ根のあるものが良質。いちょういもはふっくらと厚みがあるのがいい。傷がなく、切り口が乾燥していないものを選ぶ。
【体に効く食べ方】すりおろしが最強
消化酵素のアミラーゼを効果的に使うには、生をすりおろすのが一番。せん切りにしたり、たたくのもいい。加熱しても食物繊維は失われない。
【栄養を守る保存方法】乾燥を防いで野菜室へ
大きいものは新聞紙に包んで野菜室へ。切ったものはラップで包むかポリ袋に入れて。すりおろして冷凍しても解凍すれば生食できる。
【重さの目安 長いも中1本約600g】
[注目成分]
アミラーゼ
(ジアスターゼ)
ビタミンB群
ビタミンC
カリウム
食物繊維
[エネルギー]
65kcal/100g(長いも)
108kcal/100g(いちょういも)
[食物繊維]
1.0g/100g(長いも)
1.4g/100g(いちょういも)
(Topics 1)長いもかいちょういもか…… 成分と好みで
棒状の長いもと、手のひらのような形のいちょういも、自然薯などいろいろな種類がある。市場に多く出回っているのは水分が多くてシャキシャキの長いもとねっとりしたいちょういも。栄養成分はいちょういもに多いが、レシピによって選ぶといい。
(Topics 2)中国では漢方の生薬として滋養強壮に
いも類のでんぷんは本来加熱が必要だが、やまいもは大量の消化酵素を持っているので唯一、生で食べられる。消化の負担を減らすことで体を休める効果もある。漢方では「山薬(さんやく)」と呼ばれる生薬で、滋養強壮保健薬として利用されている。
ヌルヌル成分の働きと消化酵素で胃腸を守る。
昔からスタミナをつける滋養野菜として親しまれてきたやまいもの健康効果は、糖たんぱくであるヌルヌル成分に由来します。たんぱく質の吸収を高める働きがあるので、肉や魚、大豆などの栄養がしっかり摂れるため、スタミナの維持に役立ちます。
さらにでんぷんの消化を助けるアミラーゼ(ジアスターゼ)という酵素を多く含むので、胃への負担を軽くし、結果として、栄養素を効率よく取り入れられることも健康効果の一つです。カリウムが豊富なので、血液中のナトリウムを排出し、むくみや高血圧を解消する効果もあります。
ご飯の消化を助けることから、とろろご飯が滋養食とされてきたのは理にかなっています。たんぱく質の吸収を高める働きを生かす意味で卵をプラスするのもいい方法。
消化酵素は熱に弱いので生で食べるのがおすすめ。すりおろす、刻む、たたくなど、やまいも自体を細かく消化のいい状態に調理することも大切なポイントです。
ぬるぬる成分の力で無敵の腸と美肌効果あり。
すりおろしたり、小さく切って生で食べるのが最強ですが、シャキッとした食感を楽しみつつ成分も有効に摂るなら、手間がかからないたたきがいい。にんにくやごま油を合わせた最強の一品を紹介します。さっと加熱し、汁ごと食べる煮物もおすすめです。
長いものユッケ風
【材料(2人分)】
長いも …… 250g
卵黄 …… 2個
A 醤油 …… 小さじ2
コチュジャン、酢 …… 各小さじ1/2
にんにく(みじん切り) …… 薄切り1枚分
ごま油 …… 小さじ1
砂糖 …… ひとつまみ
いり白ごま …… 少々
【作り方】
1.長いもは皮をむき、ポリ袋に入れてめん棒などでたたいて食べやすく割る。
2.器に盛って中央をくぼませ、卵黄を落とす。
3.Aをよく混ぜたたれを2にかけ、ごまを振る。
長いもの白煮
\短い加熱で栄養を残し、全く違う味わいに。/
【材料(2人分)】
長いも …… 300g
A だし …… 3/4カップ
みりん …… 大さじ2
塩 …… 小さじ1/3
【作り方】
1.長いもは皮をむいて乱切りにする。
2.鍋にAと長いもを入れてふたをし、火にかけて沸騰したら弱火にし、10〜15分煮る。
『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。