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家族やパートナーとの関係をよりよくする言葉の選び方、言い換え方。

「何気なく発したそのひと言が、相手を不快にさせているかも。人間関係をよりよくする言い換え方を、メンタルアップマネージャーの大野萠子さんに聞きました。

イラストレーション・鈴木衣津子 文・嶌 陽子

相手の主体性を尊重し、未来へとつながる表現を心がけて。

【×】言いがちフレーズ
なんで◯◯してくれないの?
   ↓
【◯】好印象フレーズ
◯◯してほしいの。

身内に対してつい口をつく「なんで」という言葉。

「人間の感情や行動は複雑で、頭ではわかっているのだけれど、どうしてもできないこともある。その際に『なんで』と責められても、相手は返事ができずに困る。困ると、人間は反発します。ですから『なんで』を言えば言うほど、相手は抵抗し、負のスパイラルに陥ってしまうのです」

また、要望を伝える際、「なんであなたは〜しないの」など、相手を主語にした〝You(ユー)メッセージ〟だと相手は追い詰められていると感じてしまう。「私はこうしてほしい」と、自分を主語にした〝I(アイ)メッセージ〟を使うことが大事。自分の意向をストレートに伝えよう。

【×】言いがちフレーズ
少しは手伝って。
   ↓
【◯】好印象フレーズ
洗濯物を畳んでくれる?

「人によって『少し』の度合いは違います。そこからこちらがしてほしいことと、相手が実際にしてくれることのズレが起き、トラブルのもとになりがちです。曖昧な言い方をせず、してほしいことをなるべく具体的に伝えましょう」

「ちゃんと」 「きちんと」も人によって解釈が違う曖昧表現。

「小さな子どもにとっては『片づけて』すら曖昧に感じる場合も。『おもちゃを箱に入れて』など、できるだけ具体的に説明するほうが賢明です」

手伝ってほしいことを具体的かつ明確に頼めば、頼んだほうも頼まれたほうも気持ちがよい。
手伝ってほしいことを具体的かつ明確に頼めば、頼んだほうも頼まれたほうも気持ちがよい。

【×】言いがちフレーズ
学校は楽しかった?
   ↓
【◯】好印象フレーズ
学校はどうだった?

「『楽しかった?』というのは〝クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)〟といって、イエスかノーでしか答えられない質問です。場合によっては楽しかったという答えを要求されているように子どもが感じ、学校でイヤなことがあったとしても言い出せないかもしれません。コミュニケーションを深めるには、『どうだった?』というやんわりとした聞き方のほうがいいのです。そうすれば、子どもが自分でテーマを選べるし、子ども自身が主体性を持って話すことができます」

子どもに対してだけでなく、パートナーに対しても同様だ。「仕事はうまくいってるの?」ではなく、「仕事はどう?」と聞くようにしたい。

【×】言いがちフレーズ
宿題やりなさい。/お風呂に入りなさい。
   ↓
【◯】好印象フレーズ
宿題しよう。/お風呂に入ろう。

「『〜しなさい』といういわゆる命令は、誰でも基本的には嫌に感じ、〝やらされている〟という気持ちを持ってしまいます。どんなに小さな子どもでも、主体的に動きたいもの。ですから押し付けではなく、『一緒にやろう』という〝Let’s〞の表現にしましょう」

子どもの年齢が上がって「一緒にやろう」が通用しなくなっても命令は避け、「お風呂を掃除したいから◯時までに入ってほしい」など、事情を伝える工夫をしたい。

「一緒にやろう」と言った後、実際に親も一緒に座って取り組む姿勢を見せることが大切。
「一緒にやろう」と言った後、実際に親も一緒に座って取り組む姿勢を見せることが大切。

【×】言いがちフレーズ
それはやめたほうがいいよ。
   ↓
【◯】好印象フレーズ
私だったらこうするかな。

相手のことを思って言っているつもりでも、「やめたほうがいい」 「こうしたほうがいい」は主観の押し付けになる。

「相手も本当はその意見がいいと思っていても、決めつけるような言い方をされると、コントロールされていることに抵抗を感じてしまいます

もちろん、身内に自分の意見を言うことは悪いことではない。ただし、あくまでも『自分ならこうする』 『私はこう思う』というスタンスで言うのがよい。

「最終的に相手に『自分で決めた』という主体性を感じてもらうことが大事です。また、否定だけだと相手が傷つく可能性も。『こっちのほうがいいと思うよ』など、代案を出すようにしましょう」

【×】言いがちフレーズ
だから言ったでしょ。
   ↓
【◯】好印象フレーズ
次はどうしたらいいと思う?

身内が何か失敗をした際、「だから言ったでしょ」と言うのは、追い打ちをかけてさらに相手の自信をなくすだけ。

自分の正当性を強調しているだけですし、時には相手の人格否定にもつながります。『私に従っていればいいのよ』と言っているのも同然ですから」

すでに起きてしまったことを責めるのではなく、次に向けての対策を考える、建設的な声かけをすると円満に。

「基本的にマイナス感情をぶつける言葉は、相手は受け止めづらいもの。つい感情的になってしまうことは誰にもありますが、その時はなるべく言葉を発さず、少し時間が経って冷静になってから事実に基づく声かけをするほうがよいでしょう」

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