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結婚ってしゃべり合える相手にめぐりあうことが大切――田辺聖子(作家)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、言葉の達人が考える「結婚」のツボに耳を傾けます。

文・澁川祐子

結婚ってしゃべり合える相手にめぐりあうことが大切――田辺聖子(作家)

1979年4月25日号「田辺聖子の『女のグチ・皮肉・泣きごと』」より
1979年4月25日号「田辺聖子の『女のグチ・皮肉・泣きごと』」より

じつはクロワッサンの創刊当初から、男性が妻に対して不平、不満をもらす「男のグチ・皮肉・泣きごと」というコーナーがありました。これがもう時代を感じさせるジェンダー観のオンパレードで、とてもじゃないけれど紹介できない内容。でも、今回は女性の側から、しかも昨年惜しまれながら亡くなった作家の田辺聖子さん(1928- 2019)のバージョンとあって、ふだんと違って名言が満載でした。哀悼の意を込めて、2回にわたって田辺さんの言葉を紹介します。

まずは、結婚について。田辺さんはいい人がいなければ結婚は急がなくてもいいし、うまくいかなかったら、無理せずどんどん離婚すればいいと断言します。大切なのは自分に合う人、つまり〈しゃべり合える相手〉を見つけること。たわいもないことを話せる相手がいれば、グチを言う必要はなくなるというわけです。

田辺さんと結婚とくれば、夫の川野純夫さんをモデルにした「カモカのおっちゃん」との息のあったやりとりを描いたエッセイが思い浮かびます。

田辺さんが開業医の川野さんと結婚したのは、37歳のとき。しかも川野さんは再婚で、4人の子持ちでした。まわりからはすぐ離婚するだろうと思われたものの、2002年に川野さんがこの世を去るまでずっと仲良し。2人を結びつけていたのは、晩酌をしながらの毎晩のおしゃべりでした。名言は、そんな田辺さん自身の結婚生活から導き出された、シンプルながら実感のこもった言葉なのです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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