からだ

かゆみや痛みを放っておかない。大人こそ、デリケートゾーンケア。

女性ホルモンの低下とともに始まるドライシンドローム。なかでもデリケートゾーンは人知れず悩む人が多いのです。「なおえビューティークリニック」院長の喜田直江さんにお話を伺いました。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・大山奈歩 構成&文・越川典子

乾燥による膣萎縮は誰にでも起こる可能性が。

喜田直江(きだ・なおえ)さん●「なおえビューティークリニック」院長。京都府立医科大学卒業。産婦人科医を経て、形成外科医に。2011年、銀座にて開院。婦人科系の美容手術は日本でも有数の症例数を誇る。

3000人以上の女性たちの女性器にまつわる悩みを解決してきた喜田直江さん。最近気になるのは、40〜60代に増えている「セカンドバージン現象」だという。

「セカンドバージンというのは、中高年になってパートナーができ、いざ何年かぶりにセックスしようとしたら、痛くてできなかった――そんな悩みをもつ女性のことです」

長くパートナーがいない独身女性だったり、夫がいてもセックスレスだったりの場合が多い。

「皆さん、口をそろえて『歳をとると膣が変わるなんて知らなかった』とおっしゃるんです」

「ドライバジャイナ」って、 聞いたことがありますか?

原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による『膣委縮』の症状です。コラーゲンや水分が失われることで膣の壁が薄くなり、弾力が失われてしまいます。これは、閉経以降の女性には、ほとんど例外なく起こることなんです」

症状はデリケートゾーンだけではなく全身に及び、「ドライシンドローム」と呼ばれている。肌が乾けば「ドライスキン」、目が乾けば「ドライアイ」、口が乾けば「ドライマウス」、膣が乾くと「ドライバジャイナ」という(下イラスト参照)。

「ホルモン分泌が減少すると、強い酸性で守られていた膣の中の酸が弱まり、雑菌が繁殖しやすくなります。結果、ニオイが強くなったり、刺激による炎症が起こりやすくなったりするのです」

「ドライバジャイナ」に注目

【ドライマウス(口の乾燥)】
消化を助け、口の中をきれいに保つ唾液の分泌が減少。シェーグレン症候群の可能性も。

【ドライアイ(目の乾燥)】
涙の分泌が減り、目がごろごろしたり、かゆみや痛みが出たり。炎症を起こすことも。

【ドライバジャイナ(膣の乾燥)】
膣の粘膜が薄くなり、乾燥してくる。膣の入り口付近がヒリヒリするなど不快症状が。

【ドライスキン(肌の乾燥)】
肌の水分量や皮脂の分泌が減り、乾燥肌に。バリア機能が低下すると肌荒れやかゆみも。

まず、洗浄と保湿の方法を 見直すことから始めます。

そうした性器症状、尿路症状、性行為関連症状をすべて含め、「閉経後性器尿路症候群(GMS)」と呼ぶ。

「トイレットペーパーでこすったり、ナイロンタオルでゴシゴシ洗ったり、おりものや尿のついたナプキンをつけたままにしたり。ふだんの何げない習慣一つとっても、不快症状を深刻にしてしまいます」

まずは、清潔にすること。デリケートな部分は、“扱いもやさしく丁寧に”が基本と喜田さん。

「治療法はありますが、毎日の『セルフケア』が原則です

●洗浄…専用の低刺激の洗浄剤で、丁寧に洗う。
●保湿…専用の保湿剤を使う。
●マッサージ…皮膚の弾力を保つために、専用オイルなどでケア。

「この3つを心がけてください。それでも症状が改善しない場合は、婦人科の専門医で治療をしましょう。ヒアルロン酸注射やレーザー照射などで弾力を取り戻すことができます

膣や女性器については、幼いころから「見ない、触れない、話さない」が当たり前で、「90%近い女性が自分の性器を見たことがない」という調査もあると喜田さんは話す。

「驚いてしまいますね。女性器は、大きく分けて2つ。子宮、卵巣、膣などの『内性器』と、大陰唇、小陰唇、クリトリス、膣口などの『外性器』で、骨盤底筋がそれらを支えています。大人なら、せめて構造は知っておいていいのではないでしょうか」

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