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【山田ルイ53世のお悩み相談】仕事優先の妻に不満が募ってきました。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は子育てや家事よりも仕事優先のように見える妻と暮らす夫からの相談です。

撮影・中島慶子

<お悩み>
夫婦共働き、8歳の長男と5歳の長女との4人家族です。
家計は奥さんにはパートでもいいので少し働いてくれたらよいと言っているのですが、がっつり正社員でフルタイムで働いています。
会社は時短勤務制度もあるのですが、勝手にフルタイムに変えて、残業も厭わず仕事優先と本人の口から出ているところに私の不満があります。
そのせいで、たまにならいいのですが、学童や保育園のお迎え、ごはんの用意、風呂掃除、子供の宿題など学校関係のチェックなどなど、妻がしない分、私がやるようにしています。
ワークライフバランスという言葉も知っていますので、家事はどちらがやるべきとの考えはないですが、あまりにも子供に目をかけておらず、妻本人は帰宅したら自分で買ってきた惣菜を食べてソファで電気をつけたまま、早朝まで寝てから風呂に入る生活です。
何回か話しましたが、妻曰く、子供と長く接するとついついひどい言葉で怒鳴ったりして、自己嫌悪になるので、早く家に帰りたくないとのこと。お金は多少稼いでくれますが、外食やスーパーの惣菜をよく利用するため出費も多いです。
家事も掃除や洗い物をためがちですが、洗濯だけは率先して妻がおこなっています。別居の私の両親の介護でたまに仕事を途中抜けしてくれることもあります。
介護の件や、子供のことを考えると離婚は避けたいですが、仕事と不規則な生活習慣で休日も身体がしんどいしんどいと何回も言って、正直うざいです。
自分の考え方が古いのかもしれませんが、深刻に悩んでおります。どうぞアドバイス下さい。 (りゅうちゃん/男性/75年に生まれで兵庫県三木市志染町で育った会社員です。どこかで山田さんとすれ違ってるかもしれません。)

山田ルイ53世さんの回答

筆者と同級生かつ同郷というりゅうちゃんさん。
そのよしみで、ズケズケ申し上げる無礼をお許しいただきたい。
整理します。
今奥様は、貴方のご希望とは違いましたが、残業も厭わずフルタイムで働き、仕事の合間に、相談者のご両親の介護もこなしている。
その(相談者曰く)"多少の"稼ぎは、奥様自身の食事……外食やスーパーの総菜などで目減りするものの、家計の足しにはなっている。
洗い物や掃除は完璧ではない。
だけれども、洗濯は率先してやっている。
ちなみに、家事の中で、最も煩わしく、重労働の部類に入るのが洗濯だと筆者は考えています。
……どうでしょう。
これが、仮に主語が「奥様」ではなく、「旦那さん」、つまり相談者ご自身であれば、「少々外食が多く、子供との触れ合いが足りないが、働きながら、介護や洗濯に精を出す良い夫」となり、ご近所からも羨ましがられる、なんてことはありませんか。
勿論、奥様も生活態度やお子さんとの触れ合いの面で、改めた方が良いのになと思うことは幾つかありますが、それとて、結局は人それぞれ。
彼女の人間性を否定出来るようなことではない。

それよりも、「勝手に」、「そのせいで」、「介護の件や、子供のことを考えると離婚は避けたい」、「正直うざい」……相談者の言葉の方が気になる。
端々から今のお気持ちが垣間見えますが、筆者でそうなら、一緒に暮らす奥様は尚更でしょう。
もしかすると、来たるべき破綻に備え、不安からフルタイムで働いている、なんてことも。

率直に言って、考え方が新しい、古いといった問題ではなく、単純に、相談者の思惑通りにならない奥様や、彼女を含む結婚生活に苛立っているだけでは……と思えてしまうのです。
見当違いかもしれませんが。

「家計はパートでもいいので少し働いてくれたらよい」と提案したのは相談者。
「少し働いてくれたらよい」と「働かなくてよい」は違いますし、何より、専業主婦は既に"働いている人"です。
加えて、家事と両方こなすとなると、フルタイムもパートも奥様の負担感はあまり変わらない気もします。
"少し働いてくれたらよい"などとやや上から目線で言われたところで、
「少しでいいんだ!優しい!!」
とはならないでしょう。
いずれにせよ、働くことに関しては「ここまで」と上限を決め押さえつけ、家事子育てに関しては「これ以上!」とノルマを課す。
夫婦といえど、そんなに人間が人間を思い通りに動かす事は出来ません。
理不尽です。

勿論、其々のご家庭に、其々の形があって良い。
しかし、亭主関白を気取るにも、今のご時世に合う素敵なパートナーを演じるにも、中途半端ではないでしょうか。
以上、ボロカスに書いてしまいましたが、とは言え……です。
相談者も働きつつ、「学童や保育園のお迎え」、「ごはんの用意」、「風呂掃除」、「子供の宿題など学校関係のチェック」等々、奥様がしない分をこなしている。
実際、立派だと思います。
なので、傍から見ると、双方頑張ってらっしゃるご夫婦という印象ですが、それでは駄目ですか。

最後に、子供達のこと。
「子はかすがい」とは言いますが、かすがいとて無敵の強度を誇るわけではありません。
なるべく、子供達に負担を掛けない選択をして欲しいと切に願っております。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
⇒ 公式ブログ

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