信頼できるかかりつけ医を見つけ、納得のいく診療で更年期症状を乗り越える
イラストレーション・えだようこ 文・石飛カノ
治療に納得がいかないときはセカンドオピニオンという選択も
命に関わるような重篤な病気と違い、更年期症状では医師やクリニックはあまり替えないほうがいいようなイメージがあるが、それは大きな誤解。
「たとえばホルモン補充療法を受けていたとします。ホルモン剤にもいろいろなタイプがあるので、使用中の薬が合わなかったらまず今診てもらっている医師にそのことを伝えてください。もしそれで薬を替えてくれなかったり納得のいく説明がなかったなら、別の医師に相談するのはまったく差し支えありません。また頭痛や関節痛など婦人科の専門外の治療を行っている場合、治療効果に疑問があれば、他の専門医にセカンドオピニオンを求めるのもいいでしょう」
ただし、セカンドオピニオン外来は保険のきかない自費診療のため、30分で数万円という費用がかかってしまう。
「脳や心臓の病気、がんなど大きな病気のときはその選択肢を視野に入れるのも必要ですが、更年期障害の治療の場合はセカンドオピニオン外来に限らず、別の婦人科で相談をするのもいいと思います。これまでの経緯を隠す必要はありません。前の病院での治療内容や今の自分の症状や希望をしっかり伝えてください」
閉経後の病気対策のためかかりつけ医を見つける
「更年期以降、かかりつけ医を持つことはマストです」と、増田さんは言う。理由は、閉経後にはさまざまな病気のリスクが高まっていくからだ。
たとえば、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化。本来、こうした生活習慣病やそれらを引き起こす病態は、男性のほうがなりやすい。それが閉経後はエストロゲンのバリアが失われるので、女性も男性同様にリスクが高まるのだ。
「エストロゲンがほぼゼロになることで、このほかに慢性腎臓病や泌尿器関連の病気のリスクも増していきます。そういう意味で更年期以降、さまざまな病気の対策をするためのかかりつけ医を見つけておくことは非常に重要です」
婦人科のかかりつけ医から、その他の専門医を紹介してもらうのもいいし、もともとかかっている内科のかかりつけ医から逆に婦人科を紹介してもらってもいい。信頼のおける医師に更年期以降の人生の伴走者になってもらおう。
婦人科のスペシャリストを探す。オンライン診療という選択肢
都市部に住んでいる場合は医療の選択肢が多いが、地方在住となるとそうもいかない。増田さんによれば、「日本女性医学学会(旧:日本更年期医学会)のホームページ https://www.jmwh.jp/から日本全国の更年期障害や女性医療の専門医を探せるという。
「学会が認定している専門医は安心できるスペシャリストといえます。どの都道府県にも複数の専門医がいるので更年期症状の相談やホルモン補充療法はもちろん、保険適応の漢方薬の処方も受けることができます。とくにがんの既往歴があってホルモン治療が受けられない場合は、漢方薬を組み合わせることで更年期を乗り越えていくこともできるはず」
地理的な条件や体調が優れず通院が難しい場合は、オンライン診療を活用する方法も。今やスマホ一台あれば、更年期の悩みを改善に繋げられる時代になっている。
更年期以降の幸福度を支える、いい医師の条件とは?
人生100年時代、更年期以降も長く続く人生の伴走者になってくれるのだから、「いい医師」の条件は誰もが知りたいこと。相性が合わずあちこちの医療機関を転々とする“ドクターショッピング”という泥沼に陥ってしまう前に、最低限の条件を頭に入れておきたい。
「まず一つめは、必ずしも優しい先生=いい先生ではないということ。優しくて話し上手で知識も豊富、でも高額な治療ばかりを勧めてくる医師もいます。更年期症状の治療は、安心安全な保険診療を基本にしていくことが可能です。その上で複数の治療の選択肢を提示してくれる医師がいい医師だと、私は思っています」
具体的には、患者の目を見て話を聞いてくれる、治療方針を複数提案してそこから患者に治療法を選ばせてくれる、食事や運動など日常生活でのセルフケアについてアドバイスをしてくれる、ほかの病気が見つかったら専門医を紹介してくれる、などがいい医師の条件として挙げられるという。
「細かいことですが、医師の椅子と患者の椅子が同じということも素晴らしい視点だと思います。患者と同じ目線で向き合うという姿勢の表れではないでしょうか」
『クロワッサン』1175号より
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