マンション購入以前の風呂内さんにはお金を貯めるという発想はなかった。
「入社4年目当時の年収は450万円。親しかった同期の女性が400万円貯金していると知って猛反省しました」
この時に勝間和代さんの著書『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』と出合う。そこには具体的なお金の貯め方や使い方がわかりやすく書かれていた。風呂内さんは親元生活で学生時代から厚遇のアルバイトにも恵まれ、洋服にも化粧品にもエステにも飲み会にも、躊躇なくお金を使っていた。その出費を見直すきっかけになる。
「まず貯蓄用の口座を作りました。近所に給与が振り込まれる銀行と当時の郵便貯金のATMが並んでいたので、毎月、給料日に郵貯の口座に数万を入金。ボーナスは全額貯金。手数料のかかるATMは絶対に使わない。服はお店に3回見に行き、気持ちが変わらなかったら買う。被服費は年間で5分の1まで削りました。生命保険も見直しです。定期付終身を解約して団体割引が付く商品に入り直しました。出張手当を浮かせるために新幹線の回数券や5回宿泊すると1泊無料になるビジネスホテルチェーンを利用。会社から奨励金が出る資格も取得しました」
飲み会の回数も大幅に減らした。
「高校、大学、会社とばらばらだった飲み会をまとめるようにして」
“友だちの友だちは友だち”の理論で異業種交流会状態になり、人間関係の輪が思いのほか広がっていった。
「1年間の徹底した節約生活で160万円貯めました」
マンションが建った後も、しばらくは節約生活が続いた。
「飲み会は自宅での“家飲み”に。毎日買っていたコーヒーは1杯あたり円のドリップタイプに。“ラテマネー”といって、カフェスタンドで1杯400円のカフェラテを毎日飲むと、年間10万円近い出費になります。切り詰めているはずなのにお金がない、という人の中にはラテマネーがかさんでいるケースが少なくありません」