高温多湿の夏に備えて、賢く食べ物を保存する方法。
文・一澤ひらり イラストレーション・山口正児
梅雨や夏に役立つ食材や調味料
生の魚介を食す寿司にはワサビやショウガ、弁当には梅干しを入れるなど、経験的に食べ合わせを考えてきた先人たち。この時季はこれらの食材も活用したい。
「とはいえ過信は禁物です。酢やワサビ、梅干しなどに減菌、抗菌作用の成分が含まれていても、食事としての効果は不明です。科学的裏付けはありませんが、旬のものを楽しむ気持ちで活用してはいかがでしょうか」
夏のカレー保存は要注意!
毎年、件数は少ないものの注目すべきなのがカレーや煮込み料理での食中毒。その原因菌として検出されたのがウェルシュ菌だった。
「香辛料たっぷりで腐敗しないイメージがありますが、カレーを鍋に入れたまま室温で放置すると、熱に強いウェルシュ菌などの芽胞は生き残り、25~50度の環境になると繁殖します。翌日に食べる場合は、しっかり加熱し直さないと、ウェルシュ菌は死にません。温め直すときはよく下からかき混ぜて空気を入れ、60度以上にしっかり加熱してください」
カレーは大量に作って、コンロに鍋を置いたまま翌日温め直すことが多いが、実はとても危険な状況下にあると知っておきたい。
「市販のルウを使ったカレーは濃厚でドロッとなるものが多いので、大量に作ると冷めにくく、ウェルシュ菌が繁殖する環境になりやすいです。カレーを作ったら、手早く中まで冷まして、保存容器などに小分けにして冷蔵・冷凍して保存するのがベストです」
夏場にはサラッとしたカレーのほうがおすすめ、と南さん。
「私が夏によく作るのはトマト、ズッキーニなどを入れた夏野菜のスパイスカレーです。サラサラなので冷めるのも早いですよ」
『クロワッサン』999号より