自然を映し出す存在である、“虫”。身近にいながら、実はそのほとんどの生態はわかっていない。
虫の色、質感、構造、また習性には、想像をはるかに超える未知の世界が広がっている。
人類よりもずっと長い歴史のなかで進化を続けてきた多様な虫の姿からは、さまざまな 創造の可能性が浮かび上がってくる。
本展覧会は、知れば知るほど不思議な虫たちを「デザインのお手本」にする試みになっている。
会場では、デザイナー、建築家、構造家、アーティストたちが、虫から着想を得たさまざまな作品を展示。小さな身体を支える骨格を人工物に当てはめる、翅(はね)を上手にしまう仕組みをロボットに応用する、幼虫がつくり出す巣の構造を建築に当てはめるなど。
一つの虫をじっくり観察したら、その口、目、脚から驚くような工夫が見つかり、人間が虫と関わってきたなかでつけた名前にはおもしろいルールがあった。
クリエイターが、そして訪れる一人ひとりが、虫の多様性や人間との関係性を通して、デザインの新たな一面を虫から学ぶ展覧会だ。