実は、私は小学校五年から中学一年までピアノを習っていた。別にピアノが好きだったわけではなく「両手でピアノ弾けたらカッコいいな」という、邪な動機だった。
すぐに馬脚をあらわし、私が嫌々ながら練習していると、母は「あんたのは『楽しき農夫』じゃなくて『苦しき農夫』ね」「もしエリーゼがそれ聴いてたら『こんな曲、要らないわ!』って言うに決まってるから『エリーゼの拒絶』だわ」と笑うので、頭にきて止めてしまった。
そしてピアノを三年習った私は楽譜を見てもチンプンカンプンだったのに、一度もピアノを習ったことのない長兄は絶対音感の持ち主で、初見でピアノの伴奏ができた。神様は不公平だと思う。
私はそれ以来ピアノが大嫌いになり、そばに近寄ったこともなかったが、このアプリのお陰でピアニスト気分を満喫することができた。
江戸の仇を長崎で討つと言うけれど、今回はピアノの仇をアプリで討ったのだろうか?
両手で弾いて気分良かったわ。