ときどき学校の芸術鑑賞の公演(落語が芸術かはさておき)などで、生徒さんや先生がたにも一緒に蕎麦を食べるしぐさを演じてもらいますが、この“音”がまず出ません。“スー”っとストローで空気を吸うような音、“ピチャピチャ”と猫が水を飲むような音、コーンポタージュを“ズズ”と飲むような音がすればマシなほうでしょう。
じゃあ、われわれ本職にはどんなコツがあるのかというと……実は人それぞれに方法が違うんです。
口の形や舌の長さが影響するのか、仲間うちで聞いてみてもわりとまちまち。それでも共通点は開けた口を舌でふさぎ、せまいすき間から息を吸うーーもう文章にすると、何言ってるんだか分かりませんよね。実際に寄席においでになり「落語日和」を楽しむついでに、噺家の蕎麦をすするコツも探してみたらいかがでしょう。