やはり血がかよわなくなることが一番怖い、ですから時々すっと腰を浮かせて膝を伸ばし、足の先のほうに血をかよわせているんです。さらに上級テクニックは膝立ちになった瞬間、かかとを浮かせてつま先立ちのように足の指を反らせて伸ばせば効果倍増です。
かくいう私は以前は高座でしびれる経験が皆無だったのですが、体重がほんの1、2キロ増えたこと、座る時の足の重ねかたが少し変わったことがダブルパンチとなり、恥ずかしながらしびれることが時々あります。一席演じ終わってさあ立ち上がろうとした時に「あれ? 足が思うように動かないぞ……」。この恐怖たるや、せっかくいい気分の「落語日和」も吹き飛んでしまいます。