くらし

コーディネーター・青木由香さんが選ぶ体にやさしい台湾の料理。野菜と滋味たっぷりで胃腸も心も安らぐ一皿。

  • 撮影・青木和義 コーディネート・青木由香

【雙連駅】燕山湯圓(イェンシャンタンユェン)

【乾意麵】35元。メニューの「乾」は汁なし麺のこと。濃いめの甘辛ダレと青菜を絡めて食べる。「乾麺タイプの意麺はお土産にも人気。食べ比べて好みを探してみても」
【鹹湯圓】肉餡入り団子スープ50元。セロリの風味が効いている。団子に使う米をじっくり水に浸すところから毎日手作りの本格派。
店主の祖母の代から60年続く店。屋台の風情が残る店頭で、店内、持ち帰りと、手際よく作られる。

朝市見物後の小腹満たしは名物スープで。

取材や観光で多いのは「朝市を見たい」というリクエスト。

「雙連(シュアンリェン)市場はアクセスも良く、規模も雰囲気もちょうどいいのでおすすめです。散策の後に小腹が減った、でもランチは予約してあるし……という悩ましい時間帯とお腹具合なら迷わずここへ」

名物の肉団子スープはもちっとした団子に濃厚な肉餡、汁はあっさりで好相性。合わせるのは意麺(平打ちのちぢれ麺)だ。

「汁麺もありますが、汁なしで意麺の味を楽しんでみて。にぎやかな市場の一角というロケーションもいい。台湾らしい軽食です」

台北市中山區民生西路45巷9弄12號 TEL.02-2521-6479 営業時間:月~金曜7時~19時(土曜~15時) 日曜休

【國父紀念館駅】光復市場素食包子店 (グアンフーシーチャンスーシーバオヅディエン)

【四季豆包】いんげん豆まん25元。
【葫蘆包】ひょうたんまん25元。
「ひょうたんはたぶん、ヘチマのこと。もちろん、キャベツまんも甘くて濃くておすすめ」。ちなみに店の一番人気はからし菜まん。
蒸す前の饅頭がずらり。
どんどん包む女性たちの手際も見どころ。

野菜の深い味と底力を堪能する饅頭。

野菜が持つ、食材としてのパワーを感じる饅頭がある。青木さんは愛をこめて「べジマン」と呼ぶ。

「野菜だけというイメージからは程遠いといってもいい(笑)。食べたときの充実感がすごいんです」

中でも青木さんの一押しはいんげん豆まん。こまかく刻んだいんげんと黒キクラゲの歯ごたえが小気味いい。味が染みた焼き麩のかけらも、濃厚な風味の一助に。たっぷりの具をしっかり包み込む、むっちりふんわりの皮も、粉もの好きなら声を上げて喜ぶはずだ。

早朝から客が列を作り、昼前に売り切れることも。早い到着が吉。

台北市大安區光復南路419巷95號 TEL.02-8780-1949 営業時間:6時~13時(売り切れ次第終了) 日本語メニューあり

【雙連駅】人和園雲南菜 (レンハーユエンユンナンツァイ)

【雞油碗豆】豆のスープ(小1杯)118元。「雲南の昔の料理ですが、現地でももうあまり作られていないようです」(店主)
【蕎頭肉末】らっきょうとひき肉のピリ辛炒め288元。「大好物。甘めのらっきょうがそれは細かく刻まれていて、ごはんに合う雲南料理」
【涼拌蕨菜】わらびの前菜188元。「茹でたフレッシュわらびの和え物です。歯ざわりもよく、花山椒の風味がたまりません」
【涼拌結頭菜】雲南カブとトマトの前菜188元。「さっぱりとしていますがパンチが効いた好きな味。日本で食べるカブより歯ごたえがあるかも」
【牛肝菌捲餅】いんげんとポルチーニの巻き餅(1本)250元。「雲南の人はキノコ好き。焼餅で巻かれたポルチーニの芳醇な香りが贅沢です」
スナップエンドウの豆を手作業で取り出し、さらにスープ用に大きさを選別。

リピート率はぴかイチ。あのスープを求めて。

繊細で澄んだ鶏のスープに、豆の粒が美しく浮かぶ印象的な一皿。台湾好きの間では「あの豆のスープ」として愛されている。

「私も最初、本当に感動しました。みずみずしくて、口の中で豆の香りがプチプチ弾ける。こんな豆の味わい方があるのかと。以来、皆に必ずおすすめし続けて、今や人気メニューに。作るのが大変、と店主は笑っていますが(笑)」

店のルーツは店名にもある中国・雲南。野菜やキノコ類の使い方が上手かつ個性的だそう。

「好物があり過ぎて、新規メニューを開拓できないのが悩みです」

台北市中山區錦州街16號 TEL.02-2568-2587 営業時間:11時30分~14時、17時30分~21時 無休 カード可 日本語メニューあり

【東門駅】奇福扁食(チーフービエンシー)信義店

【鮮蝦扁食湯麺】エビワンタンスープ麺65元。スープは豚骨で浮き実のセロリの風味が絶妙。ワンタンは豚肉、ホタテなど計4種。「さっぱりした肉そぼろ麺もおすすめ」
温野菜・各35元。キャベツ、空心菜、さつまいもの葉などが旬替わりで。「さっと茹で上げたシンプルな温野菜をプラスするのが定番です」

気遣いと、安定安心の美味。ワンタンを食べるならここ。

初めて台湾に来た17年前。慣れない生活の中で、青木さんの胃袋だけでなく心も癒やしたのはワンタンの専門店。

「清潔でこざっぱりした店内、注文方法もわかりやすく、それだけでもう、安心できた。そんな店の姿勢は料理にも表れていて、盛り付けが常に丁寧なんです」

ぷりぷりのワンタンの味はもちろん確かで、澄んだ豚骨スープは見た目よりしっかりしていて満足感がある。だが塩辛かったり、しつこかったりはしない。

「一見すべてが普通なのですが、実は隅々まで心が行き届いている良店。今も通い続けています」

台北市大安區信義路二段243巷2號 TEL.02-2322-2337 営業時間:10時30分~15時、16時30分~20時 無休 日本語メニューあり

青木由香(あおき・ゆか)●コーディネーター。昨今の台湾ブームはこの人から始まったとも言える存在。2015年にはギャラリースペースが併設されたセレクトショップ『你好我好(ニーハオウォーハオ)』もオープン。

*1台湾元=約3.6円(2019年2月22日現在)

『クロワッサン』993号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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