くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】学校に通えなかった自分を許したい。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は登校拒否の記憶を引きずってしまう30代女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
小・中・高校と登校拒否をしていたことで、未だに自分に自信が持てません。
それぞれ1ヶ月ほど登校拒否期間があります。
理由はそれぞれ、小学校がいじめ、中高は学校が合わない、でした。登校を再開した理由は、毎回親が学校に行かない私を見て、ちょっとびっくりするほど悲しみ・嘆くので、その姿を見ていると「そろそろ行かないと親がおかしくなる…」と子どもながらに思い、むりやり通い卒業しました。
その後、専門学校に進学し、その時は無事楽しく通えて卒業。現在は社会人としてなんとかやっています。
しかし、どうしても義務教育期間と高校期間中に登校拒否をしていたことが、まだ私の中に影を落としているようで、「ちゃんと学校に通えなかった人間が、この先ちゃんと社会生活を送れるのか」と、未だに心配になり、自分に自信が持てません。
もう学校を卒業して10年以上が経つので、そろそろ自分のために呪いを断ち切ってあげたいです。学校にちゃんと通えなかった自分をどうやって許してあげればいいのでしょうか?(ジャスミン茶/女性/フリーランスで仕事をしている32歳です。)

山田ルイ53世さんの回答

許してあげたい……登校拒否だった頃の自分を「意味があるものとして」肯定したいという気持ちが強いのでしょうか。
僕も中学2年生の夏から、20歳くらいまで引きこもりで、学校には行っていません。
そしてこれは、あくまで自分に限っての話ですが、あの期間は完全に無駄だった、貴重な時間をどぶに捨てたと思っています。
何かしら取材を受けたりすると、本人が無駄だったと断じていても、
「……でも、その期間があったから今の山田さんがあるんですよね?」
と、そういう過去を半ば強引にでも美談に着地させたい人達が少なからずいる。
その方が喉越しが良いのかもしれませんが、反面、人生に無駄な時間があってはならない、全てが有益でなければ意味がない……有益でなければ意味がないと言いたげで息苦しさを覚えます。

その期間をどう総括するか、自分が感じている通りに率直に決めてしまえばいいのではないでしょうか。
登校拒否のおかげで没頭できるものを見つけて、それが今につながっているから良かったとしてもいいし、僕みたいに無駄なら無駄でいい。
ジャスミン茶さんが自分を許せないと思っているなら、許さない方がいい、そんな気もする。
許さないと決めてあげる。
過去の自分を許せないのは、まだ自分のことを諦めていないから、自分に期待しているからではないでしょうか。
本当の私はもっと素敵な人生を送れるはず、素晴らしい人間のはず……僕は20代前半で色々なことを諦めましたが、諦めるというのは非常に良い選択で、その分視界が良好になる。

あと、ジャスミン茶さんの文章には、「ちゃんと」という言葉が目立ちますが、「ちゃんとした社会人」、「ちゃんとした生活」なんてざっくりした尺度は虚像に過ぎません。
存在しないもので、人生のハードルを上げてしまうのは滑稽なことです。
もしあなたが、ご自分のことを「ちゃんと」してないと感じるのなら、それは学校に通っていなかったこととは関係なくて、"今の"あなたが原因です。
何でも登校拒否時代の自分のせいにしなくても大丈夫です。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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