ピンクの着物と“ドヤ顔”がトレードマーク。『笑点』でおなじみ、三遊亭好楽さんは、番組に出演してもう40年近くなる。人を和ませる優しい雰囲気は、テレビで見るのとまったく同じだ。
「子どもの頃はガキ大将。近所の子たちの面倒をよく見てました。人を楽しませるのは、その頃から大好き。『笑点』の楽屋でも、くだらないことを言っては皆を盛り上げるのが私の係です」
ものを贈るのも昔から大好き。寄席などの楽屋見舞いはもちろん、かかりつけの医院や、通っているサウナのスタッフにも差し入れするほどだ。最近の定番は、東京・雑司が谷の子母神すぐ近くにある甘味処『ひなの郷』のたいやき。中に入っているあんこは、北海道・十勝産の小豆を使っている。実はここ、好楽さんの次女が営む店なのだそう。
「そもそも昔、この小豆を作っている会社の社長と知り合って、すごく仲良くなってね。その後、いろいろなご縁がつながって、12年前に娘が今の店を開いたんです。あんこが素朴なおいしさで、ほかと全然違うんですよ。気軽に食べられるから、楽屋への差し入れにもぴったりでしょう」
甘いものが好きになったのは年を重ねてから。一方、お酒には昔から目がなく、今でも毎晩たしなむという。
「弟子入りした頃、師匠とおかみさんが旅に出かけて家を留守にすると、兄弟子たちが酒を飲みに集まってくるの。そのうち、師匠の家にある酒が足りなくなってくる。『こんな面白い話が聞けるのに、酒がなくなったら兄さんたちが帰っちゃう』って、あたしは自腹で酒屋に酒を買いに行きましたよ。あとで兄弟子の一人が『あれはお前が買ってきてくれたんだろ』って、お小遣いをくれましたね」
たいやきからお酒まで。どの品にも、人とのつながりを大切にする、好楽さんらしいエピソードが隠れている。