「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」というトルストイの言葉を私は長らく信じていたが、この映画はそれを覆し、登場する一組一組の家族が、そのひとりひとりが、「幸福な家庭こそそれぞれの形がある」ということを、身をもって示してくれる。
ゲイであるというアイデンティティーと、その事実に自分自身や家族が向き合おうとすることの困難や苦悩をきっかけに、さまざまな“違い”を抱える親子に取材を重ねることにした作家アンドリュー・ソロモン。その著書『FAR FROM THE TREE』が原作になっている(ちなみにタイトルは、「リンゴは木から遠いところへは落ちない(子は親に似るもの)」という諺から「木から遠いところ」の意味。翻訳は来年に読めるそう、楽しみ!)。