作家の辻村深月さんが、いい睡眠のために準備していること。
撮影・清水朝子 文・喜多川美穂
18時に仕事終了。こなせないことは放置!と開き直れば、快眠できます。
早ければ朝4時、通常でも5時過ぎには起きるという辻村深月さん。しかも、睡眠7時間を確保している。「たった一文のために徹夜することもあった」という日々から朝型の生活に変わったのは、出産後しばらくしてから。
「上の子の出産後は、一旦、夜中に起きて家事や仕事をしていたんです。でも、睡眠が分断されてしまい、疲れも解消されませんでした。もともと生真面目な性格で、育児、仕事、家事を全部きちんと自分で、と思う気持ちが強すぎたんですね。その日に何かこなせないことがあると気になって眠れなかったり、疲れて寝落ちしたりと、失敗ばかりで負の連鎖に陥っていました」
試行錯誤の6年を経て、ようやく時間と気持ちの切り替えができるようになったいまは、いい眠りを保っている。
「18時以降は一切仕事をせずに、夕食、入浴をすませたら、寝室へ直行。子どもたちに本を読んであげながら、21時半には一緒に寝てしまうんです。そうすれば早起きでき、朝5時~7時が私のゴールデンタイム。仕事や家事の続きもできるし、好きなことをやれると思うと楽しみで起きられます!」
たとえ作業が終わっていなくても、仕事は18時に強制終了。あとは、ひたすら快眠するための準備に集中する。
「気を付けているのが首を冷やさないこと。エコモコタオルを首に巻いておくと、ぐっすり眠れるんです。ゆっくりお風呂に入れるときは、ロバのミルクの入浴剤で身体を温めます」
実働時間は減っているが、現在のほうが仕事量は増えているそう。
「散らかっていてもいつかやればいいと思うことで、よく眠れるように。ときには、遅く帰った夫が、片づけておいてくれたり(笑)。おかげで、時間がさらさらと流れる水からとろりとした蜂蜜になったように濃くなり、仕事にも集中できるようになりました」
辻村深月(つじむら・みづき)●作家。2004年、作家デビュー。2018年本屋大賞の『かがみの孤城』は50万部超えのヒット。6歳と2歳の2児の母でもある。
『クロワッサン』977号より