鼻緒さん、こんにちは。
鼻緒さんが普段から情に厚く、周りがつい頼りたくなってしまうタイプの方なんだろうなあということが、いただいた文章からひしひしと伝わってきました!
お友達の娘さん、24歳ですか。
たしかにその年齢だと、いつまでも子どもでいるわけにもいかないですねえ。留学して、何かやりたいことがあるんでしょうか。いや、きっとそうではないので心配されているんでしょうね。
私ならどうするかと考えてみましたが、やっぱりまずは、お友達(お母さん)抜きで、娘さんと二人でご飯にでも行きますかね。その上で、どんなことをどの程度考えているのか、はたまた考えていないのか、信頼関係を作りながら、じっくり話を聞いてみたいところです。
その子の好きなことが何かも知りたいですね。何か趣味や嗜好があるのなら、同じ趣味をよりディープに分かち合えてしまう、危険度の高い大人と引き合わせます。また趣味など特にないようであれば、大人の遊びに付き合ってもらいますね。引っ込み思案な子、ということですので、信頼関係がある程度強固になって、鼻緒さんと一緒にいれば多少の刺激も享受できる、というところまでくれば、たとえばホストクラブとか、ストリップ劇場とか、あるいはアニメイトとか、グランメゾンの食事とか、デパートのショッピングとか。いろいろありますが、お金のかかる遊び、業の深い遊びを中心に付き合ってもらいます。
なぜそんなことをするかというと、大人にはこんなに楽しいことがある、こんなに享楽的でも生きていける、こんなにも業の深い、しかし魅力的な沼があって、落ちるも踏み留まるも自分次第、ただし大人ならね……といった罪深い真実を伝えることが目的です。子どもって、ただでさえ“世の中を甘く見るな”“そんなんじゃ大人になってやっていけないぞ”ということを、やたら言われながら育ちます。大人の社会って超怖いところだと思い込まされて育ちます。なのでたまには、大人の楽しさをとことん正直に実感させてくれる大人がいてもいいんじゃないかと思うんです。
ご友人の娘さんがどういう子か分かりませんが、引っ込み思案で、人と関わることが極端に苦手とおっしゃるところから、もしかしたら、単に怠惰なだけで働かないわけでもないんじゃないかという気もします。そもそも、よその家の事情って、どんなに近くにいたとしても、実は表層しか見えていないということが結構よくありますよね。子どもの問題のように見えて、実は一緒に住んでいる親や兄弟など、家族のほかの人の問題が絡み合っていることも決して少なくありません(子ども子どもと言っても今回の場合すでに立派な大人の年齢ではありますが……)。なので、親御さんの話と、本人の話、その両方をぜひ聞いてみてください。これって、鼻緒さんが親子のお友達だからこそ許される特権でもありますので。
でもって、こんな風に、普通なら親子だけで抱えてしまいがちな問題に、近くにいる、信頼できる大人が力を貸してくれるっていうのは、本当に素晴らしいことです。今動いていない人が、誰かのたった一言で、突如として動き出す、というようなことは、残念ながら滅多にありません。“ここをこうするだけの、至って簡単なことじゃん!”といくら他人が説いても、その簡単なことができない裏側には、表には見えないたくさんの時間と経験の積み重ねがあります。さまざまな角度からの、根気強い関わりが必要にはなるのでしょう。それでも、その過程で鼻緒さんがご友人親子のために費やす時間って、決して無駄なものではないのだろうと思います。鼻緒さんご自身が、自分のために得られるものも、きっと少なからずあると思います。
ですからどうか気長にお付き合いいただけると幸いです。と私からお願いするのもなんなんですが……どうぞ、よろしくお願いいたします。