料理というのはモノによって扱いを変える、材料を見分けて使う、ここが大切です――田村平治(「つきぢ田村」主人) | くらしにいいこと | クロワッサン オンライン
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料理というのはモノによって扱いを変える、材料を見分けて使う、ここが大切です――田村平治(「つきぢ田村」主人)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、日本料理の名店を築いたあの人の言葉から、料理の真髄にふれてみましょう。
  • 文・澁川祐子
1977年7月号「夏野菜」より

料理というのはモノによって扱いを変える、材料を見分けて使う、ここが大切です――田村平治(「つきぢ田村」主人)

田村平治さん(1905-1996)は、日本を代表する懐石料理店「つきぢ田村」の初代主人。13歳で京都の料亭に入門したのち、各地の名店で修業を積み、1946(昭和21)年に東京の築地で独立。料理番組に出演し、大学の講師も務めるなど、幅広く活躍した人物です。

そんな田村さんが教える、夏野菜の扱い方。いまの季節にぴったりの企画からみつけた名言です。

同じ夏野菜でも、昔といまでは味が違うと田村さん。最近の野菜は、形はよくても結局、人間が作った味で、自然が育てた昔の味には勝てない。それだけに扱い方も変える必要があると説きます。

たとえば昔のキュウリは、塩でもめばもむほどカリカリと歯ざわりがよくなり、味が出ていたのに対し、いまの温室で育ったキュウリではそうはならないといいます。そこで塩をじかにふってもむことはせず、たて塩(塩水につけること)をするようにと教えています。

じゃがいもやさつまいもは店先に長くさらして皮が固くなったものはダメ。ナスは皮がめくれるくらいよく焼くのがおいしい。豆はすべて、皮をむいたら空気に触れさせないこと、などなど。旬の野菜をおいしく食べるポイントが見開きページに凝縮されています。

同じ食材だと、いつもと同じやり方で調理してしまいがちですが、目の前にある野菜の状態は毎回違うもの。<料理は栄養だけでなく、うまくなければいけません>と語る名人の教えを、あらためて肝に銘じたいものです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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