SNSが浸透してからは、他人のどうでもいい情報が自動的に入ってくるようになり、ざわつきを感じる機会が格段に増えた。不毛なマウンティングをしたり違和感を抱く登場人物5人の、誰に対しても自分と重なる部分が少なからず見つかるだろう。このリアリティは、やはりモデルがいるからこそなのだろうか?
「友人からも『この登場人物って〇〇のこと?』と聞かれたことがありますが、フィクションです(苦笑)。別の友人には、『同僚の女性が相次いで産休に入って複雑な気持ちだったけれど、これが“ざわつく”だったのね』と告げられました。思うより彼女たちに嫉妬してたのかも、とも。自分が持てなかったものを手に入れようとする人に嫉妬するのは当然のこと。こんなふうに『ざわつく』という単語をうまく使って気持ちを昇華させてほしいです」
同作では、SNSの恐ろしさにも気づかされる。佐和子の料理教室の生徒・雪乃。料理の腕を磨くためではなく、「いいね!」をもらうために躍起になって、本来の目標を見失う。