日本画の佳作を手に入れるなら、京都の名画廊「思文閣」へ。
「日本画を所有したくなったらここへ」と作家の原田マハさんがおすすめしてくれた、京都の「思文閣」を紹介。
撮影・青木和義
「私の自宅に虎の絵の掛け軸があります。描いたのは、京都画壇の大家・竹内栖鳳です。ここ思文閣のサイレントオークション(競り値を予め記入しておく)で落札したものです」
原田さんにとっては、初めてのオークション体験だった。
「思文閣は、質の高い企画展も行う画廊で、折に触れて訪ねますが、そのたびに新鮮な発見があります。信頼できる画廊です」
この日、1階では幕末に京都で活動した絵師の屏風が展示されていた。冬の嵐山や春の清水など京都の名所が描かれた屏風。
「派手さはありませんが、さわやかな画風で、京都の絵描きさんらしい作品だと思います」
夏に冬の景の屏風や軸を飾る「逆がけ」も風情がある、と画廊スタッフ。フロア中央には、京都出身でベネチア在住のガラス作家・三嶋りつ惠さんの作品が展示されている。
2階のギャラリーは軸物を中心にした展示。奥の部屋のソファに座り、気になる作品をじっくり鑑賞することもできる。画廊スタッフが、原田さんの目の前で土田麦僊や伊東深水の軸の名品をかけてくれる。
「文字どおりのプライベートビューイングじゃないですか。なんだかすごく贅沢な気分になれますね」
思文閣 京都市東山区古門前通大和大路東入る元町355 ☎︎075・531・0001
『クロワッサン』935号より
●原田マハさん 作家/キュレーターとして活躍した後、作家に。美術をテーマにした作品も多く、『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞受賞。最新作は実話がベースの『デトロイト美術館の奇跡』。
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