「また散らかっている!」とゆううつにならない空間学【リビング&キッチン編】
撮影・岩本慶三 文・石飛カノ イラストレーション・西川恵子
ぱっと目につく場所にモノが散乱している。それがイヤで一応棚の上に片づけたり、クローゼットの中にしまったりしたのに、今度はそこが雑然とした印象でイヤ。こんなゆううつな気持ち、どう解決したらいいのだろう。
「簡単なことですよ。空間内の〝デコボコ〟を減らし、自分の目の前には〝平らな面〟が広がるようにモノを片づけ直せばいいんです」と、すはらひろこさん。
モノが雑多に積み上げられていたり、詰め込まれていると、見た目はどうしてもごちゃついた印象になる。これをかごや箱や棚などに収納し、平らな面が多い空間にする。それだけでかなり整然とした印象に早変わりするのだ。
「自分が一番気になる箇所から、着手してみてください。記したポイント順に片づけると、効率的です。デッドスペースも有効利用して、スッキリした空間を手に入れましょう。
人が集まるリビングこそ、床の上はいつも”平らな面”に。
最近、リビングの中に階段がある「リビング階段の家」が多く見受けられる。
「リビングはもともと家族が集う場所ですが、『リビング階段』の家のリビングは、家族が各自の個室に向かうための通り道でもあります。だからそのぶん全員の持ち物が集まりやすく、デコボコに散らかりやすいんですね。こういうリビングはまず、大きなものから片づけること。階段下のダンボール等は即撤去しましょう。そして次に床という広い面を片づけていきます。散乱するおもちゃなどは、フタ付きかごボックスに収めます。それからテレビボードに着手。部屋の中で一番目立つ所にあるものは両サイドに〝視線の抜け〞をつくったほうが空間が広く見えるんですよ」
散らかりがちな洗濯物は、「家族それぞれに収納かごを用意し、そこに仕分けるのです。そして自分の部屋に戻るとき、各自が持って上がるルールにしましょう」
Point!
1.階段下を物置きにしない。置くならばインテリアとして成立する、収納家具を。
2.ゲーム、おもちゃ、子どもの学習用品などはフタ付きのかごボックスにしまい、インテリアになじませる。
3.部屋で一番目立つもの(テレビやテレビボード)の両サイドは空ける。
4.洗濯物はそれぞれが自分の収納ボックスに入れ、寝るときに自分の個室に持って上がるようにする。
キッチンの対面カウンターの上にあふれるものは、 カウンター下に収納家具を設置し、解決。
食品、郵便物、財布、薬、書類。カウンターに山と積まれたもので壁ができ、食事を直接カウンターから差し出せないと嘆いている家庭も多いのではないだろうか。
「食卓まわりを片づけたくても、収納しきれないものってたくさんありますよね。それが一度キッチンカウンターにはみ出し始めると、もうカウンター上はデコボコの嵐です。これを解決するには、カウンター下のデッドスペースを利用するのが一番です」
最近は、通販でもカウンター下に設置できる収納家具が多数ある。
「自分の家のカウンター下にすっぽり収まるサイズの収納家具を見つけましょう。引き出しと観音扉の棚がセットになっているものが便利でおすすめ。食卓まわりが使いやすくなると、家への愛着も増しますよ」
Beforeの状態ではカウンターにダイニングテーブルをくっつけてしまうと、テーブルの上にもどんどんモノが進出。Afterのようにテーブルは向きを変え、カウンター下に収納家具をふたつ設置。カウンター上のものはすべて、ここに収納。
Point!
1.カウンター下のデッドスペースを有効利用するため、集中収納家具を設置。
2.〝ちょい置き〞のかご、トレイは各1個ずつ設置し、ダイニングテーブルの上の物置き化も防止する。
『クロワッサン』934号より
●すはらひろこさん 収納コーディネーター/インテリアの知識を生かした整理収納講座が好評。オールアバウトで記事を執筆するほか、『風通しのいい片づけ』(エクスナレッジ)等、著書多数。
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