近藤典子さんに聞く、小部屋をウォークイン・クローゼットにする方法
撮影・青木和義 文・神舘和典
家を美しく片づけたい時、頭に浮かぶのは、ふだん使わないものの処分だろう。でも、一年に一度か二度しか使わなくても、思い入れの強い衣類や食器はある。そんな使用頻度の違うものを出し入れしやすくすっきりと片づけるにはーー。
「今あるものを今ある環境にただ収めてはいませんか? 私の経験では、持っている服や食器をサイズや形状ごとに整理し、モノの量やサイズに合った場所を作って収めると、自分の『持ちグセ』『買いグセ』に気づき、不要なものを処分できるようになるんです」と、近藤典子さん。
近藤さんによると、整理の基本は上記の3つのプロセスが大切。要約すると、モノの分別モノと収納場所のサイズのマッチング収納だ。
「片づけのコツは、まずグループ分けです。衣類ならば、丈の長いコートやワンピース、ジャケットやシャツなどのトップス、スカート・パンツなどのボトムスに分ける。サイズや形状にふさわしい場所に収めると空間の無駄がなく、すっきりと片づき、出し入れもしやすくなります。ものと収納場所のサイズが合わない場合も、簡単な工夫で対応できます。
その次に、使用頻度を考慮。
「いつも使うものは、出し入れしやすい目線の高さから手をおろした時の指先までの間に。それより高い位置に使用頻度の低い軽いもの、低い位置に重いものを」
この近藤さんの片づけ術をクロワッサン倶楽部会員の高橋佐知さん宅で実践してもらった。高橋さんはおしゃれ好きで、服がどっさり。ほんとうに全部収まるのだろうか?
衣類やバッグが無造作に置かれている洋室を見て、近藤さんは部屋をウォークイン・クローゼットにすることを提案。今回は部屋を丸ごとクローゼット化したが、自宅の状況に合わせて、壁の片面のみ収納に使うなど、部分的に取り入れる工夫をするのも手だ。まずは大量の衣類のグループ分け。トップス、ボトムスを手際よく分けたあと、バッグは形や大きさで分類。次がいよいよ収納場所づくり。
「トップス用の収納は奥行き60センチ、ボトムス用は40センチあれば収まります。通路をはさんで左右に振り分ければ、トータル160センチで、使い勝手のいいウォークインクローゼットになる。通路幅は60センチ以上が目安。洋服の出し入れがスムーズに行えます」
高橋さん宅の洋室はスペースにゆとりがあったので通路は70センチ幅に。トップスとボトムスは向かい合わせにした。服を吊るすオープンクローゼットには市販の突っぱりハンガーを使用。すでにあったチェストの上に板を渡して、奥行き40センチのバッグ置き場とした。奥の壁にはネット付きの突っぱり棒を設置。そこにフックを付け、帽子、ストール、時計などを下げた。使用頻度の高い衣類は出し入れしやすい目の高さ、あまり着ない服は高い位置に吊るす。
『クロワッサン』934号より
●近藤典子さん 住まい方アドバイザー/住まい方提案のスペシャリスト。近藤典子の暮らしアカデミー校長。『近藤典子の「片づく寸法」図鑑』(講談社)など著書多数。商品開発や間取り監修も。
広告