くらし

500人アンケートで判明!「手放せないもの」「手放したくないもの」とその落ち着く先

誰にだって身に覚えのある、片づけたくても片づけられないもの、そもそも手放したくないものの存在。
その処遇をアンケートで探りました。
  • イラストレーション・チコラータ大石 文・板倉みきこ

2人からの形見をひとつに融合。

私が20代のときに母が急逝しました。母が愛用していたダイヤの指輪があったので、形見としてつけていたのですが、デザインが古めかしく、当時付き合っていた彼に「ダサい」と言われてしまい、以降引き出しの中に入れっぱなしに……。
先日父方の祖母が亡くなったとき、「〇〇に(私の名前)」というメッセージとともにダイヤの指輪が遺されていました。可愛がってくれた祖母の思い出が蘇ってくるとともに、ハッと母の指輪のことを思い出したんです。そこでリメイクを思いつき、ネットで調べて素敵なデザインをしてくれそうなデザイナーを見つけました。
2つを合わせた、世界にひとつだけのデザイン。私のお守り的な存在で、もう他の指輪はいらないくらいだと思っています。(Hさん・42歳)

理由をつけると手放せる。

オシャレが大好きで、洋服はいろんなパターンを持っていたいタイプです。でも、もはやこの先着ることはない、20代や30代に活躍した服もかなりの数が……。
愛着があるので、二束三文の値段でリサイクルショップに買い叩かれるのもなんか腑に落ちない。そこで思いついたのが、保護犬の団体への寄付を目的にした、フリーマーケットへの参加です。
古着に値段をつけるのは気兼ねしてしまいますが、売り上げを全て寄付にすると思えば客観的に値づけできます。実際、気に入って洋服を買ってくれる人を見ると、自分が好きだったものの価値を認めてもらったようでうれしいし、環境にも、犬にもいいことをできた達成感も味わえました。(Mさん・51歳)

夫の執着心に手を焼きます。

私はものに執着がなく、スッキリした空間を維持していたいほう。反対に夫は所有していたい人で、折に触れ喧嘩になっていました。
子どもが独立して夫婦二人の暮らしになってから、夫の所有物の多さが以前より気になりだし、この先の暮らしに必要ないものは処分してほしいとお願い。夫は嫌々ながらも、共有スペースや本人のクローゼットなどを整理してくれ、ある程度スッキリしたので一件落着……。
我が家には屋根裏の収納スペースがあり、季節物などを保管しているのですが、冬に備えて暖房器具を取り出そうとしたら、捨てたはずの夫のものがぎっしり! バレないと思っていた夫にも呆れたけど、ものに対する執着はどうやったらなくせるのか、頭を抱えています。(Fさん・57歳)

死ぬまで持っていたい連絡帳。

大学生になった我が一人息子。今やほぼ会話がありませんが、小さい頃は本当に可愛かった! 
彼が中高生時代にムカつく態度ばかりとってきたときも、小学生の頃に描いた絵や工作を見ては、可愛かった頃を思い出して癒やされていました。
でも量も多いし、はたから見ればゴミ……。先日、意を決して写真に撮り全部捨てることにしました。
唯一捨てられなかったのが、小学1年生のときに学校の出来事を親宛てに子どもが書いていた連絡帳。判読不明に近い字ですが、滲み出るポジティブさとか、私への愛が感じられて、見ると元気が湧いてきます。
子育てに頑張ってきた自分が労られる気分にもなる感じ。私が死んだら棺に入れてほしいとさえ思え、大事に取っておくことにしました。(Eさん・53歳)

娘の結婚式でもらったもの。

17年前に夫と離婚してから、長女である娘は、率先して弟の世話などもしてくれ、私にとって頼れる同志のような存在。ただ、わがままを言える子どもらしい時期を奪ってしまったかも、という罪悪感もありました。
先日、娘が結婚することになり、親への花束贈呈のときにもらったのが、花束ではなく古いぬいぐるみ。昔、家族でテーマパークに行ったときに娘に買ってあげたものなのですが、ずっしり重い……。
生まれたときの体重を再現してくれるサービスを利用したそうで、娘の出生体重だと告げられました。同時に「私を産んでくれてありがとう」と言ってくれ、いろんな思い出がバーッと脳裏を駆け巡り、大号泣。
娘のこれまでの人生を思い返せるぬいぐるみは、私の大切な宝物になりました。(Sさん・58歳)

家じゅうにレトルト食品を発見……。

フルタイムで働きながら、3人の子どもの子育てにも追われる忙しい日々を送っています。夫はほとんど家事をしてくれない、ワンオペ状態。そのため、食事づくりは時短がかなう、冷凍食品やレトルトに頼ることも多いんです。
余裕がなく、整理整頓に費やす時間もほぼないので、とにかくものはどこかに収め、見える部分はスッキリさせるよう心がけています。
この間、長男が中学校に上がるタイミングで家の大掃除をしたときに、キッチンやリビングの収納スペースなど、あちこちでレトルト食品のストックを発見! 特に多かったのが子どもたちの好きな麻婆豆腐が10個も……。
入れる場所を決めていなかった自分が悪いんですが、並んだパッケージを見て、なんだか笑えてきてしまいました。(Nさん・42歳)

みんなの本音がアンケートに凝縮!

※日本の二大都市圏の関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀)に住む、40〜65歳の既婚女性を対象に、編集部が500人にアンケート。

Q1.あなたは物を捨てられる方ですか?

ある程度捨てられると答えた4割近い人の中にも、「愛着のあるものは絶対捨てられない」人がいたり、「夫の所持品は、はたから見れば不用品なのに捨てられないのがもどかしい」という声も。

Q2.物を減らすために、今までやったことがある行為はどれですか?(複数回答)

「捨てる」行為が圧倒的な1位ながら、リサイクルショップが巷で増えてきた昨今では、6割近い人が店を利用したことがある、という結果に。10年前ではニュースだったフリマアプリも、5人に1人は経験済み。今や一定数の人が使う、ものを手放すツールとして一般的になった模様。

Q3.手放した物や捨てた物で後悔したことはありますか?

「深く考えずに手放してしまってから二度と同じものは買えないということを知り、猛烈に後悔した」「使わないな、と母の形見を捨てた後、転倒して怪我をしたので、母が怒ったのかもと反省」

Q4.手放しにくい物、処分しにくい物はなんですか?(複数回答)

[1位] 写真、アルバム
[2位] ぬいぐるみ、人形
[3位] 子供からもらった物
[4位] 古い携帯、パソコン
[5位] 引き出物、プレゼント
[6位] ランドセルなど子供の学校関連の物
[7位] 年賀状、グリーティングカード
[8位] 
[9位] 食器
[10位] 形見

「年賀状やカード、子どもが作ったものなどはデータ化してしまう」という手があるが、贈り物は難しい。特に、処分すると人との関係性にヒビが入りそう、と捨てにくい模様。「義理の母がよくものをくれるのですが、趣味が全く合いません。でも捨てられず、クローゼットに溜まっていく一方です」

Q5.物を手放せない理由を教えてください。(複数回答)

[1位] 愛着があるから
[2位] いつか使いそう
[3位] 思い出が詰まっているから
[4位] もったいない
[5位] プレゼントでもらったから
[6位] 後悔しそう
[7位] 高かったから
[8位] いつか売れるかもしれない
[9位] 捨てたらバチが当たりそう
[10位] いずれ子や孫の役に立ちそう

「痩せたら着られそう」など、「たら」「れば」を持ち出すとものは減らせない。「結婚したら娘が使うかも、と使っていない高級な食器類を取っておこうとしたら『絶対使わないし、お母さんが死んだら整理するのが大変だから処分しておいてね』と言われた」

Q6.処分できない物は、現在どう保管していますか?(複数回答)

6割近くの人がしている、普段使わない収納スペースに保管する方法では「知らないうちにすごい量になっていたり、処分することすら忘れてしまうから厄介」ということになりがち。大切に取っておきたいものなのか、しまう前にものを見直す必要がありそう。

試してみたい、プラスαの価値をくれるサービス。

もともと"もったいない"精神が浸透している日本。ものを減らすときでも、ただ捨てるだけではなんだか気が引ける。ここでは、いらなくなったものや使いづらいものの価値を上げてくれる、時勢に合ったサービスを紹介します。

コスメノイッポ

●コスメロスの削減を目指したクレヨン。

アイシャドウやリップにチークなど、自宅に眠っているカラーコスメを回収し、エシカルなクレヨンにアップサイクルするプロジェクトは、2021年に発足。コスメの美しい色がそのまま生きたクレヨンは、持ちやすい形状と柔らかな描き心地。こちらのクレヨンの端材を色付けに使った、アロマワックスも販売中。https://cosmenoippo.official.ec

古着deワクチン

●不要になった衣類が、ワクチンに変わる。

専用回収キット(1口3,300円)を申し込み、30kgまで衣類や靴などを詰めて発送すれば、1口につきミャンマー、ラオス、ブータンなどの開発途上国の子どもたちにポリオワクチン5人分を寄付できる。また、送った衣類はカンボジアの直営センターで販売され、1点売れるとワクチン1人分が寄付されるシステム。https://furugidevaccine.etsl.jp/

島村楽器 楽器アップサイクルプロジェクト

●廃棄楽器を遊び心あるインテリアに。

管楽器やピアノなどの廃棄楽器に新たな命を吹き込み、スタンドライトやサイドテーブル、時計などのインテリアに生まれ変わらせるプロジェクト。商品の販売で得た収益で、国内外の子どもたちに楽器寄贈も行っている。写真上はテーブルやスタンドライト。写真下はピアノの鍵盤を使った鏡。https://www.shimamura.co.jp/p/csr/upcycleproject

ROOTS FACTORY

●思い出の詰まった家具を新たな形に再生。

引っ越しやライフステージの変化で、それまで使っていた家具が使いにくくなることも多い。でも、愛着があって捨てたくないという人に、新しい暮らしに合った家具のオーダーリメイクを提案してくれる店。写真は、世代を超えて約40年以上使われていた学習机を、コンパクトな折りたたみ式の座卓にリメイクした例。https://roots-factory.com

『クロワッサン』1103号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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