大事な親のお金を守る方法。意思確認ができるうちに対策を
イラストレーション・古谷充子 文・黒澤 彩
こんなときは? シチュエーション別の準備と対策
任意後見の契約をしておくのがもっとも安心、とはいえ、後見制度を利用する人はまだまだ少数派だ。多くの人が直面しそうなシチュエーションごとに、今ある仕組みや要件を知っておこう。
【介護】後見制度を利用しなくても家族がいれば手続きできる
介護関係の申請は、後見の契約に必須で含まれているもの。ただ、現実には後見制度を利用しなくてもほとんどの人が介護サービスを受け、施設に入居している。「家族がいても後見制度の利用を求める施設も稀にあるようなので、任意後見の契約があれば心強いはずです」
【銀行】本人が自分でできるうちにやっておくといいことも。
「任意後見の項目に銀行預金の管理が含まれていれば、後見人は本人のキャッシュカードを使ってお金を引き出せます」。本人が元気なうちに、銀行口座ごとの家族カードや代理人カードをつくっておくのもいい。普通預金の1日の利用限度額を上げておくのもおすすめ。
【証券】業界としての取り組みも。選択肢を比べて検討を
昨年、日本証券業協会が認知症対策として「家族サポート証券口座」という仕組みを新設したが、公正証書による契約が必要という点では任意後見と同程度の手間がかかる。「金融資産の管理だけを目的とするなら、こうした証券業界の仕組みや家族信託も選択肢になります」
【保険】代理人が請求できる制度、みなし後見が充実
もともと「指定代理請求制度」があり、本人ができないときに代理で請求する人を指定できる。「それとは別に、家族などを代理人とみなすみなし後見人制度を設けている会社も。保険会社としては未払いがあってはいけないので、家族による請求が認められやすくなっています」
【不動産】親自身が売却するのか、相続するかをまず決める
後見なしでも本人の意思確認ができれば売買契約できるケースが多い。「所有権を子どもに移しておく手続きもできますが、その前に、家をどうしたいのかを家族で考えます。親自身が任意売却した場合と、相続後に売却した場合とで税額も変わってくるので比較してみては」
【相続】遺言書を用意するなら「執行者」もポイント
「法定相続どおりの遺産分割でいいなら、遺言書は必要ありません」。その上で、資産を整理する意味で一度は作成してみても。内容は遺産の分け方だけではなく、遺産分割を行う「執行者」を誰にするかもポイント。相続時の諸経費を抑えるには、家族を執行者に指定しておく。
【終末期】後見の契約には含まれない。家族として希望を聞いておく。
「終末期の医療同意や死後事務は、後見の契約内容には含まれません。最後をどこで過ごし、どんな医療を受けたいか。また、葬儀や埋葬についての希望も、家族として聞いておきましょう」。家族以外の人が後見人になっている場合、死後事務は別途の契約をすることになる。
【生前贈与】後見制度を利用する前に資産を減らしておく手も
親の資産が多く、介護費や医療費も充分にあるなら、元気なうちに生前贈与をするのも一案。「その際、非課税枠110万円を超える金額を贈与して贈与税を払っておくと、後々支払う相続税の負担を減らせる可能性が。きちんと贈与契約書を作成し、証拠を残すようにしましょう」
『クロワッサン』1174号より
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