【俳優、映像プロデューサー・MEGUMIさんに聞いた】誰かじゃない、自分がこの人生を動かしていく──映画『FUJIKO』
撮影・メグミ スタイリング・斉藤くみ ヘア&メイク・エノモトマサノリ 文・長嶺葉月
映画『FUJIKO』の出発点は、木村太一監督から託された“ひとりの女性の物語”だった。そこに重なったのは、MEGUMIさん自身が掲げる「女性をエンパワーメントする」という揺るぎない信念。
「4年前、監督からお母さまの話を映画にしたいと相談を受けました。その時期、日本人女性の自己肯定感が世界的に低いというニュースを目にしていて。だから自分が作品をつくるなら、女性を主人公に、理不尽や問題を抱えながらも、自分で人生を選び取っていく姿を描きたかった」
本作の主人公・富士子はシングルマザーとして生きる女性。その存在が今ほど社会に受け入れられていなかった時代、見えない圧力や視線の中で不自由さを抱えている。
「“女性って大変だよね”という共感で終わらせるのではなく、その先にある“それでもどう生きるか”までを描きたかった。富士子は未熟さや衝動も抱えながら、転がるように成長していく。そんな富士子を体現できる人として、真っ先に思い浮かんだのが片山友希さんでした。7年ほど前にドラマで共演した時から、芝居はうまいのにすっごく率直で、普通の子(笑)。あの富士子の魅力は彼女が宿らせてくれたもの」
作品の中心にあるのは、「動くこと」への執念にも似た意志。
「生まれてきたからには動くことが使命だと思っていて。できない理由を探して止まることが一番怖いんです。富士子も特別な能力があるわけではないけれど、とにかく動き続けた人で、その在り方に共感しました。止まっていると思考も感情も一緒に沈んでいく。大きな決断じゃなくてもいいので、散歩に出る、お風呂で体を温めるといった小さな行動を起こしてみる。100あったしんどさが、60になることもあります」
日々の小さな選択の積み重ねが、次の一歩をつくる。
「誰かがやってくれるわけじゃないから、自分で決めて動くしかない。年齢を重ねると、『もうこの歳だから』と自分で選択肢を狭めがちですが、海外に行くとその前提が簡単に取り払われる。70代、80代でも軽やかに活動する人たちを見ると、自分の中にあった制限がいかに思い込みだったかに気づかされるんです」
提示したいのは“正解”ではなく、ひとつの可能性。
「こういう生き方もあるよ、というリファレンスでありたい。あくまで選択肢のひとつとして見てもらえたら。選択肢は豊かなほうがいいし、さらに自分で選べるほうがいい。そのための視野みたいなものを、作品や活動を通して少しでも広げられたらと願っています」
『FUJIKO』
1970~80年代の静岡で、激動の時代を生きる一人の女性の姿を描くヒューマンドラマ。理不尽な姑と義姉に幼い娘を奪われてしまう富士子。実母の助けを借り、娘を取り戻し、シングルマザーとして生きることを決意する。
原案・監督:木村太一
企画・プロデュース:MEGUMI
東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中。
『クロワッサン』1167号より
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