【シアトルの旅②】雄大な自然、素晴らしいワイナリー、美味しいグルメが満喫できるシアトルへ——美味しい食材の宝庫シアトルならではの、 多彩なレストランを食べ歩き
写真・文 斎藤理子
アメリカ西海岸北部のシアトルは、太平洋に繋がるピュージェット湾が育む海の幸、肥沃な土壌で作られる野菜や果物、オーガニック農法での肉類など食材の宝庫。その中でも今話題の店をカジュアルからエレガントまでピッアップしてみました。
薪火の力で一気に火入れした食材と、繊細で味わい深いソースの見事なハーモニー
シアトル中心部から少し離れた閑静な住宅街サンセットヒルズ。昨年12月、そこにオープンした薪火レストラン《エルド(ELDR.)》が、シアトルの食通の間で人気急上昇中です。手がけているのは、シアトルのセレブリティシェフ、ブライアン・クレベンジャーさん。店名の《ELDR.》は古ノルド語(古代のスカンジナビア語)で“火”を意味するそうで、その名前の通り、オープンキッチンの中央には薪が燃え盛る大きなファイアープレイスが設置され存在感を放っています。ほとんどの料理がその薪火で作られる、薪火料理のお店です。
シンプルでカジュアルな店内は、温かみのある雰囲気。薪の火のゆらぎがくつろぎの時間を演出しています。間接照明や木製のアクセント以外は極力ミニマルに抑えたインテリアが、大きなファイアープレイスの存在を際立たせています。
キッチンを仕切るシェフのリアム・ゴールドストーンさんはじめスタッフはみなさん若い人ばかりですが、提供される料理に関する知識は深く、行き届いたサービスも心地よくて、スタートを切ったばかりの《エルド》に対する熱意が伝わってきます。
どれもこれも食べたくなる魅力的な料理が並ぶメニューは、ワシントン州産の食材を使ったものがほとんど。特に、味が濃い地元産の野菜の薪火焼は、水を使わずに薪火で蒸し焼きにするので旨みがさらに凝縮し抜群の美味しさに。どれを食べても間違いないけれど、必ず頼みたいのはキャベツのグリルです。薪火で蒸し焼きにしたみずみずしいキャベツは甘み抜群でとろける旨さ。食べるラー油のようなサルサマチャというソースが、その甘みを引き立てます。
料理はボリュームが多いので、何人かで行ってシェアするのがベスト。2人でシェア用のメニューもあります。メインでのおすすめは鴨と牛肉。腿肉のコンフィー、胸肉のグリル、鴨肉のソーセージが盛り合わされたダック・フォー・ツーは、鴨のいろいろな部位の味や食感の違いが楽しめます。薪火で焼かれて燻香がついた乾燥熟成アメリカン和牛リブアイステーキは、外側のカリカリ感と中の柔らかさの組み合わせがたまりません。薪火だけで肉汁たっぷりなミディアムレアに仕上げられたステーキに、薪火の強弱を操って自在に火入れをする技術の高さがわかります。
エルド(ELDR.)
https://www.eldrseattle.com
気軽なランチや軽いディナーにぴったり。ファーストフード感覚で美味しいシーフード料理を
シアトルのダウンタウン中心部にあるシアトル美術館。その隣にあるのがカジュアルにシーフードが楽しめる《マーケット・シアトル(MARKET Seattle)》です。店内に入ると大きな注文カウンターがあり、その上にはメニューボードが。メニューには、ロブスターロール、クラブロール、クラムチャウダー、シュリンプタコス、フィッシュ&チップスといった、カジュアルなシーフード料理が並びます。
カウンターでオーダーしてテーブルで待ち、番号が呼ばれたらピックアップするというファーストフードスタイルのお店ですが、太平洋北西海岸で水揚げされる新鮮なシーフードをたっぷりと使った料理はどれもレストランクラスの味わい。ランチタイムには行列ができるというのも納得です。
生牡蠣やアルコールもあるので、ちょっとつまんで飲みたい時にもぴったり。テイクアウトもできます。ご飯を軽く済ませたい気分な時にも美味しいロールやタコス、サンドイッチが手軽に食べられて、ひとり旅にも嬉しいお店です。
マーケット・シアトル(MARKET Seattle)
https://marketfreshfish.com/seattle
地産地消とサステナブルにこだわる、居心地の良いアメリカン・ビストロ
ダウンタウン近くにある《ハイアット・アット・オリーブ8(Hyatt at Olive 8)》は、立地が便利で居心地が良く、サービスも行き届いたブティック・ホテル。その1階にあるビストロ《タイダルプラス(TIDAL+)》は、とても使い勝手が良く気軽に美味しいものが食べられるオールデイダイニングです。
サステナビリティにこだわり、食材は地元の漁師、畜産業者、農場、パン屋、醸造所、ワイナリーなどから倫理的に調達されたものが中心。朝食、ランチ、ディナーと営業していますが、水曜から土曜日まではハッピーアワーもあり、スペシャルカクテルやワインを飲みながらバーフードを楽しむこともできます。
メニューの50%はグルテンフリー。魚介類のシンプルなグリルなどもあり、アメリカ料理はヘビーで量が多いというイメージが覆ります。ヘルシーでサステナブルなアメリカ料理を食べに足を運んでみては。
タイダルプラス(TIDAL+)
https://www.tidalplusseattle.com
ハイアット・アット・オリーブ8(Hyatt at Olive 8)
https://www.hyatt.com/en-US/hotel/washington/hyatt-at-olive-8/seahs
シアトル唯一のウォーターフロントホテル。海を眺めながらの朝食で素晴らしい1日の始まりを
ピュージェット湾は氷河によって作られた入り組んだ湾ですが、シアトルのダウンタウンが面しているのはその中のひとつのエリオット湾。ウォーターフロントにはボードウォークや観覧車、水族館、トレイルコースや広い公園などが整備され、地元の人々や観光客の人気スポットになっています。その水辺のピア67にある《エッジウォーターホテル》は、シアトル唯一のウォーターフロントホテル。ウォーターフロントというよりは、ほぼ水上にあるこのホテルは、1962年の万国博覧会のために建てられました。
ビートルズ、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズをはじめ、フランク・ザッパ、スティービー・ワンダー、レイ・チャールズ、ジェフ・ベック、ニール・ヤング、デヴィッド・ボウイなどなど、数えきれないほどのスーパースターたちが愛したホテルとしても知られています。現在でもシアトル公演をする著名ミュージシャンたちが滞在するホテルとして有名です。
《エッジウォーターホテル》では、まるで水上コテージのような客室にステイしてウォーターフロントの景色を堪能するのが一番のおすすめですが、滞在が難しい場合でもぜひ体験して欲しいのが、《シックスセブンレストラン》での朝食やブランチ。水上に作られたレストランの、さえぎるものが何もない窓辺の席は、クルーズ船でのダイニング体験のよう。息を呑むような湾内の景色と、バラエテイ豊富なメニューが最高です。
エッジウォーター・ホテル(The Edgewater)
https://www.edgewaterhotel.com
協力
シアトル観光局
https://visitseattle.org
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