猫って、すごい! 実はこんなパワーを秘めている
文・黒田 創
夜目がきく
猫は夜行性ですが、夜の暗闇の真っただ中にいてもよく見えています。これは目の網膜に光の明暗を感じる視神経細胞がたくさん並んでおり、暗闇でも少ない光をしっかり感知できているから。その代わりに、色を見分ける視細胞は人間よりも少なく、特に赤色を識別できません。
猫パンチができる
猫がするパンチは、威嚇や自己防衛、飼い主にかまってほしいなどその理由はさまざま。また、蜘蛛などの獲物を捕らえる際にも効果的です。ああいう俊敏な動きができるのは、ひとえに関節と筋肉のやわらかさから生まれる手の瞬発力ゆえ。犬にあのような動作は難しいです。
高所から着地できる
猫は高い場所から仰向け姿勢で落ちても、体をすばやく捻って必ず足から着地する特殊能力を持っています。平衡感覚を司る三半規管が非常に発達しているのが一番の理由で、どんな体勢で落下しても空中で立て直せるのです。ゆえに、落下による猫の骨折症例は犬に比べてもとても少ないです。
やわらかい
初めて猫を飼う人は体のやわらかさに驚くと思います。理由としては、猫の骨は約240あり、その分関節も多く、可動域が広いのがひとつ。鎖骨や肩甲骨、靭帯がやわらかいのがひとつ。さらには筋肉も柔軟性に富み、皮膚が大きく伸びやすいのも、まるで液体のようにくねくねと動ける要因でしょう。診察時、猫は押さえつけようとしてもスルッと抜けてしまうので注射などの際にはとても苦労しますよ。
比較的暑さに強い
猫が人間と暮らすようになったのは約5000年前の古代エジプトで、その祖先は中東にあるとされており、基本的に暑さには強い傾向があります。とはいえ、これは猫種によっても異なり、長毛種はむしろ暑がりだったりも。暑い昼間に睡眠をとり、比較的涼しい時間帯に狩りをする猫の習性は、温暖な地域がルーツにあるのが大きいかもしれませんね。
すごく静かに歩ける
猫が静かに歩くのは、他の動物から隠れたり、獲物を逃さず確実に捉えるべく地面や床との衝撃を最小限にして歩くのが基本動作ゆえ。あの肉球も地面とのクッション役であると同時に、音をたてないようにするのに大きく役立っています。大昔はもっと音をたてて歩く猫もいた可能性もありますが、そうした猫は生存競争の中で淘汰されたのかもしれません。
死に姿を見せない
猫は単独行動を好み、基本的に弱みを見せたがりません。体調が悪くても本能でひた隠しにするんです。だから死期を悟ると、弱った自分を他人から守るべくどこかへ隠れてしまうことがあります。でも飼い猫ならそれなりの愛情や社会性はあるので、飼い主を悲しませたくない気持ちは当然持っているんですね。猫の体調不良はわかりにくいので、半年ごとの健康診断や、家での週1回の体重測定は必須。体重が5%減ったら愛猫の病気のサインですよ。
意外な賢さがある
犬はコミュニケーション能力が高く、人間の視線や素振りから感情や意図を感じとったり、問題解決能力にも長けていたりします。また、警察犬がいい例ですが過去の経験にもとづいてさまざまなことを判断できる。これらの学習能力は仔犬のときのしつけ方次第で大きく変わってきます。一方、猫で賢いと感じるのは模倣能力。一緒に暮らしているといつの間にかドアを開けられるようになったりします。猫はこうした能力で生存率を上げてきたともいえます。
『クロワッサン』1140号より
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