本田明子さんに教わる、魚の塩振りの極意と3つのレシピ。
撮影・三東サイ 構成&文・板倉みきこ
焼き魚をごちそうにまで格上げするのが、料理研究家・本田明子さん考案の、切り身魚やイワシなどに塩を振り冷蔵庫内に数日放置するだけの方法。塩鮭で有名な新潟県・村上の冬の気候に近づけてみようと思いついたそう。
「冷蔵庫内で余分な水分が抜けて魚の旨味が凝縮し、焼き上がりはふっくらした極上の切り身に変わるんです」
味の決め手は塩。これ以上でも、以下でもうまく仕上がらなかったという、本田さんが探求した塩分量は守ること。
「塩の味そのものも旨味に直結するので、天然塩の中からいくつか試すなど、味の違いも楽しんでみてください」
さらに、究極の焼き魚を使った食べ応えのあるレシピも紹介してもらった。
究極の焼き魚
余分な水分を飛ばし臭みを消す、塩の力。
塩振りの極意
【材料(2人分)】
生鮭 2切れ
天然塩 小さじ1(切り身の魚1切れ〈100〜120g〉に対し、小さじ1/2が目安)
大根おろし・すだち・醤油 各適宜
鯛のサルサ風トマトソース
野菜たっぷりのソースをかければ、焼き魚がボリューム満点のおかずに。魚に塩気があるので、ソースの塩は素材の味を引き出すひとつまみで充分。
【材料(2人分)】
塩鯛 2切れ
レモン輪切り 2枚
サルサ風ソース[トマト(完熟)小さめ2個(350g)、玉ねぎ 小1/4個(30g)、ズッキーニ 5cm、塩 ひとつまみ、タバスコ 3~4滴、バジルまたはパクチー 適量、オリーブ油や好きな植物油 小さじ2]
【作り方】
1.サルサソースを作る。トマトは1cm角に切る。玉ねぎ、ズッキーニはみじん切り。バジルもしくはパクチーは刻む。
2.1をボウルに全て入れ、塩、タバスコ、油を加え、全体を混ぜる。
3.焼いた魚を器にのせ、2をかけてレモンを添える。
鯵そうめん
鯵でタンパク質をプラスでき、夏バテ対策にもなるそうめん。ほかに鯖やイワシ、鯛でも美味。だしではなく麺つゆを使えば時短が叶う。
【材料(2人分)】
塩鯵三枚おろし 2枚
そうめん 150g(3束)
つゆ[だし汁 2.5カップ、酒 大さじ1、みりん 大さじ1、薄口醤油 大さじ1]
薬味[きゅうり(千切り)1本、みょうが(せん切り)1個、青しそ(せん切り)4枚、おろし生姜 適量]
ごま 適量
【作り方】
1.冷たい麺つゆを作る。だし汁に酒、薄口醤油、みりんを加えて冷やす。アルコールが苦手な人は、一度煮立ててから冷ます。
2.塩鯵を焼く。身が薄いので焼き過ぎないように。
3.たっぷりの湯でそうめんを表示どおりゆで、よく水洗いして水気をきる。
4.器に1のつゆとそうめんを入れ、焼き鯵と薬味をのせ、ごまを振る。
鮭ときのこのピラフ風
パセリやチャイブは具の感覚でたっぷり使うと魚の味が引き立ち、大人好みに。お米がべちゃべちゃしないよう、できるだけさっくりと混ぜて。
【材料(2人分)】
塩鮭 1切れ
米 1合
酒 大さじ1
しめじ 小1パック(100g)
バター 小さじ2
粗びきこしょう 適量
パセリやチャイブみじん切り 大さじ1~2
【作り方】
1.塩鮭はこんがり焼く。中まで火が通ってなくていいので強火で3〜4分焼く。
2.米を洗い、いつもより、やや少なめの水加減で30分ほど浸す。
3.2に酒を加え、石づきを取ってほぐしたしめじ、焼いた鮭をのせ、すぐに炊飯を始める。
4.炊き上がったら鮭を取り出し、バターを入れる。鮭をほぐして戻し、パセリを加え混ぜる。器に盛り、粗びきこしょうをふる。
『クロワッサン』1119号より