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DV被害者に希望を与えたロックンロールの女王、ティナ・ターナー【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】

ティナ・ターナー『What’s Love Got to Do with It』

DV被害者に希望を与えたロックンロールの女王。

65年以上に及ぶ芸歴を誇るアメリカの伝説的歌手、ティナ・ターナーが長い闘病生活の末に亡くなりました。83歳でした。

すさまじい熱量のパフォーマンスで聴衆を圧倒してきた「ロックンロールの女王」ティナは、DV被害者であることを告白した最初の著名人のひとり。

1962年に結婚して公私にわたるパートナーだったアイク・ターナーとの18年間に及ぶ生活で受けた苛烈な暴力について、彼女は「この状況から逃れるには死が唯一の手段だと思っていました」と回想しています。

そんなティナのキャリアが絶頂期を迎えるのはアイクのもとを離れたあと、ソロ活動が軌道に乗ってきた1980年代以降のこと。1984年のヒット曲「What’s Love Got to Do with It」で44歳にして初の全米チャート1位を獲得した彼女の活躍は、困難に直面している多くの人々の光明になりました。

「私は、誰もがあらゆる問題を克服する可能性を持っていると信じています」

1993年公開の伝記映画『TINA』でティナを演じたアンジェラ・バセットは彼女の他界を受けて、DVサバイバーに希望を与え続けたティナの勇敢な行動を讃えました。

「自分の物語を勇気をもって語り、犠牲も顧みずに自分の人生を貫いて、強い意志でロックの世界を切り開いてきたティナ。彼女は、暴力に怯えて暮らしていた人々に愛と思いやりと自由に満ちた美しい未来を見せてくれたのです」

上から、ティナ・ターナーの1984年のアルバム『Private Dancer (Remastered)』。「「What’s Love Got to Do with It」」収録。下・映画『ティナ』のサントラ盤。全14曲収録のベストアルバム。
上から、ティナ・ターナーの1984年のアルバム『Private Dancer (Remastered)』。「「What’s Love Got to Do with It」」収録。下・映画『ティナ』のサントラ盤。全14曲収録のベストアルバム。
  • 高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

    音楽ジャーナリスト

    著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)など。

『クロワッサン』1097号より

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