りんごの産地、長野県でここ数年注目されているのが、クラフトシードルだ。南北に長い県内では、個性豊かなたくさんのシードルが生産され、日本一の銘柄数を誇る。
そもそもシードルとは、りんごの果汁を発酵醸造したアルコール飲料のこと。日本ではフランス語読みの「シードル」が一般的だが、最近では英語読みの「サイダー」や「ハードサイダー」と呼ばれることも。
発泡性のあるものがほとんどで、アルコール度数は数%と低め。ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富で、フルーティで飲みやすいのが特徴だ。県内で採れるりんごは100種類近く。それらを組み合わせ、さまざまな酵母を加えてつくられるシードルは想像以上に表情豊かだ。
「飲み比べると、辛口、甘口、酸味や苦味、渋みの強弱があり、個性が際立っています」と料理家の吉田愛さん。りんご生産者自ら醸造所を構えたり、委託醸造したりと、銘柄も増えている。長野独自のシードルをさらに知るべく、吉田さんと信州へ。