この噺は講談「大岡政談」のひとつで、古くは六代目三遊亭圓生師匠が「一文惜しみ」の演題で、近年は立川談志師匠とご一門が得意演目として高座にかけています。
講談(講釈)を元にした落語は「釈ネタ」と呼ばれます。
起承転結がわかりやすく、勧善懲悪や立身出世など人情の機微に訴える物語が多いので、番組の主任が演じる「トリネタ」になることが多いのも特徴です。
「演者の腕が落ちても、ストーリーがしっかりしてるからごまかせる」と、釈ネタに批判的な意見もありますが、滑稽噺より登場人物が多く、筋立ても複雑なので、それなりの技量がなければこなせません。滑稽噺も釈ネタもそれぞれ難しさがあるんですね。
実は大岡越前守がドラマや講談で披露した名裁きのほとんどは、中国の故事や日本の他の奉行の裁判という「元ネタ」があるんだそうです。