手仕事の生活道具を扱うウェブショップ『みんげい おくむら』のオーナー、奥村忍さんがここ数年手みやげに持って行っているのが、千葉県にある『みつはし』の蜜入り落花生だ。
「船橋に住んでいるので、特産物である落花生のお菓子をよく手みやげにしていました。だけど、これは沖縄に住んでいる友人に聞くまで知らなかった。食べてみたいと思い、普段手みやげを買う店に行ったら、あったんですね。落花生の殻そのものが蜜漬けになっていて、殻を割って中のピーナッツをチュッと食べるのがおもしろい。食べ終えた殻もお湯をかければ、少し甘いドリンクになります」
落花生といえば乾燥させたものを思い浮かべる人が多いが、地元の人たちが子どもの頃から親しんでいたのは茹で落花生のほうだという。
「そのおいしさを認識している人が少ないことを大人になって知り、驚きました」
月のうち3分の2は全国の手仕事の産地を巡って旅をする。手みやげを選ぶ基準は「大げさにならないもの」。
「渡されたほうが恐縮することなく、さっと食べられるもの。2〜3泊くらいの出張だとバックパック1つで行くので、そこにパパッと詰められるもの。あとは地元の千葉を感じてもらえるものですね」
奥村さんは実店舗を持たず、ウェブショップだけで販売している。
「民藝を扱ってきた老舗の商売を邪魔することなく間口を広げていければいいな、と。僕自身ができるだけ作り手さんのもとへ足を運ぶ時間を持ちたかったのも、実店舗を持たなかった理由の一つです」
コロナ禍になる前は、中国に足繁く通い、2020年には本も出版している。
「商売というよりは人とのつながり。海外へ行きやすくなったら真っ先に再訪して、無事で良かった、また一緒に何かやっていこうという話をしたいですね」