くらし

江戸切子、どぜうなべ、舟遊び…粋で美味、江戸文化に触れる東京の秋。

東京の面白さは、江戸時代の風情が残る場所が数多くあること。江戸文化の奥深さを体感して、束の間のタイムスリップを。
  • 撮影・岩本慶三 文・小沢緑子
切子体験で完成したぐい呑みを手に。「機械でガラスの表面を彫り込んでいくと、次第に模様が浮き出てきます。それがとても美しくて。線が曲がらず彫れるかドキドキしました」

古き良き江戸の文化や情緒を感じられる場所は今でも東京のあちこちに。着物愛好家で上方舞・吉村流の名取としての顔をもつ、イラストレーター・平松昭子さんと共に訪ねた。

「着物は稽古にはもちろん、展覧会やちょっとしたお呼ばれのときも着ますが、外出する機会も少なくなっていたので、今日は楽しみでした」

秋らしい着物の装いで、日本橋では江戸切子の製作体験、浅草ではどじょう料理専門店で江戸の味を堪能。

「どちらも初めての経験でワクワク。海外から友人が訪ねてきたら、こんな場所を案内してあげたいです」

江戸切子[ 新日本橋]江戸切子の店 華硝(はなしょう) 日本橋店

完成したぐい呑み。初めての人でも彫りやすい3種の模様から好みの柄を選べる。平松さんはシンプルで繊細な柄を選択。

●ぐい呑みに切り目を刻む体験。柄が表れる瞬間に胸がときめく。

江戸時代の末期に日本橋で誕生した江戸切子。色被(いろき)せガラスの表面を刻む技法で、シャープで繊細な輝きを放つのが持ち味。

切子体験の工程。まずはマーカーで模様を刻む箇所に下書きの線を描く。

国賓への贈呈品に選定されるほど、美しい切子を作リ出している『江戸切子の店 華硝』。日本橋店では、ぐい呑みに切り目模様を刻む体験コースがある。伝統的な紋様についてのレクチャー付き。

さっそくカット。専用グラインダーを使って、底に刃を当ててゆっくりと彫り込んでいく。作業に慣れたら側面をカット。最後に下書きを落とす。
ギャラリーのような店内。ぐい呑み、グラス、花器などのさまざまな製品が並ぶ。

東京都中央区日本橋本町3・6・5 
TEL.03・6661・2781 
営業時間:10時30分〜17時 土曜・祝日11時〜17時 
日曜休
〈江戸切子体験コース〉は11時〜15時。1回60分5,500円〜。予約は電話またはHP(https://www.edokiriko.co.jp)から。

どぜうなべ[浅草]駒形どぜう 浅草本店

右・商家造りの建物をはじめ、1階の入れ込み座敷も江戸時代の姿を再現したもの。「ここに座っているだけで江戸情緒が楽しめますね」 左・「放歌御遠慮下さい」との貼り紙が。昔はどぜうなべで1杯、で気持ちよく歌い出す人もいたのだとか。

●江戸っ子のスタミナ源、どじょう料理店の味に舌鼓。

厳選したどじょうに酒をかけて酔わせ、独自の下ごしらえを施して提供するのが、浅草にある『駒形どぜう』のどぜうなべ(どじょう鍋)。創業は享和元年(1801年)。

「紺ののれんも風情があります」。どじょうを "どぜう"と書くのはこの店の初代の発案。

頭から尾まで丸ごと食べるどぜうなべは当時から栄養満点、江戸っ子のスタミナ源として親しまれていたという。その味を代々受け継ぎ、今も守り続けている。

どぜうなべは、浅い鉄鍋に下ごしらえしたどじょうを並べ、火鉢にのせて提供。「ネギもたっぷりかけて。食べやすくておいしいです」
「どじょう自体がふっくら柔らかなことに驚きました。 丸ごと食べる料理だから、滋養もつきそうですね」

東京都台東区駒形1・7・12 
TEL.03・3842・4001 
営業時間:11時〜20時30分(L.O.20時) 
不定休
どぜうなべ2,200円、どぜうなべ定食3,600円。柳川なべ、どぜう汁も人気。

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