くらし

秋バラの季節に訪れたい、庭が美しい東京の2つの名建築。

東京の魅力は緑豊かな場所も多いこと。いま訪れたい自然豊かな場所とおすすめの過ごし方を、ガーデナーの川瀬康子さん、グラフィックデザイナーの黒田益郎さん、イラストレーターの川原真由美さんに聞きました。
  • 文・一澤ひらり

[北区]旧古河庭園

写真:山梨勝弘/アフロ

●和と洋の庭、それぞれの粋を堪能。秋のバラフェスティバルは必見。

「高低差を利用した、和と洋を両方楽しめる庭園」(川瀬さん)。1919年(大正8年)、古河財閥の古河虎之助男爵の邸宅として整えられた。洋館と洋風庭園の設計は鹿鳴館やニコライ堂を手がけたジョサイア・コンドル。

茶室。「洋館のお茶も有名ですが、こちらも素敵ですよ」(川瀬さん)。写真:イメージマート 

日本庭園は七代目植治こと小川治兵衛。「高台の洋風庭園に咲くバラが楽しめる『秋のバラフェスティバル』はぜひ訪れて。私は低地にある日本庭園が好き。見晴らし台からの紅葉も見事で、茶室でいただく抹茶もおすすめ」(川瀬さん)

日本庭園。七代目植治は円山公園や平安神宮神苑を手がけた名庭師。写真:古橋マミ子/アフロ

●旧古河庭園

東京都北区西ヶ原1・27・39
TEL.03・3910・0394 
営業時間:9時〜17時 年末年始休 入園料一般150円(洋館は入館料・営業時間とも別) 『秋のバラフェスティバル』(〜11月11日)中はバラのジェラートが販売される日も。

[台東区]台東区立朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)

●屋上庭園の大きな古木に息を呑む、彫刻家・朝倉文夫の住居兼アトリエ。

「和風な中庭と洋風なアトリエの折衷が魅力。かつての時代に想いを馳せ、この家の住人になったつもりで部屋を歩き回ると楽しいです」(川原さん)。

館の中央に位置する、通称「五典の池」。

「中庭の池を中心に、1階のアトリエや書斎から2階、3階の洗練された素晴らしい建築空間を経て屋上に庭園が広がっています。谷中の空に伸びる大きなオリーブの古木が圧巻。2階の『素心の間』から中庭を眺めたり、彫刻家が愛した猫が庭やアトリエでのんびりしていた当時を想像するのも楽しい」(黒田さん)

谷中霊園の近く、住宅街の中にある。現在の建物は朝倉自身の設計で1935年(昭和10年)に建てられたもの。

●台東区立朝倉彫塑館

東京都台東区谷中7・18・10 
TEL.03・3821・4549 
営業時間:9時30分〜16時30分 月・木曜休(祝日と重なる場合は翌平日。臨時休館日あり)
入場料一般500円 入館時には要靴下着用。荒天時には屋上庭園は閉鎖。

黒田益朗

黒田益朗 さん (くろだ・ますお)

グラフィックデザイナー

イギリス仕込みのガーデン好き。杉並・松庵文庫のハーブガーデンも手がける。Insta
gram:@kurodadesign

川原真由美

川原真由美 さん (かわはら・まゆみ)

イラストレーター

10年前から山歩きに目覚める。著書に『山とあめ玉と絵具箱』(リトルモア)など。www.kawaharam.com

川瀬康子

川瀬康子 さん (かわせ・やすこ)

ガーデナー

一級建築士。今回紹介したほかに、池袋西武の屋上庭園も「睡蓮の池や周りの植栽の豊かさが魅力です」。

『クロワッサン』1079号より

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